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南仏旅行レポート② トゥールーズ、ニーム

14 11月 2018

中世にタイムスリップしたかのようなジャコバン修道院


11月に入ってあまり晴れない日が続いていましたが、昨日からようやく青空が見えるようになりました。ヴェルサイユ宮殿に続く通りの木々も葉が随分減り、本格的に冬支度といったところです。
今週の月曜日、アンサンブルの時間にコーエン・アケニヌ氏がいなかったため学生だけで進めることになり、私は当然ヴァイオリンなので中心となって進めなくてはなりませんでした。まだまだ語彙が足りず苦労しています。
その後の授業の後、飲みに誘われて同僚とバーへ行きました。皆親切な人たちで、私の拙いフランス語も根気強く聞いてくれました。「この一か月で大分上達したよね」と言われ少し嬉しかったです。机やパソコンに向かって勉強するよりも、こうした取り留めない会話の方が遥かに難しく刺激になりますね。

さて、前回に引き続き南仏旅行のレポートです。
まだ日が登らないトゥールーズに到着し、早速メトロに乗車。この日廻る予定の建物はどこもこんな朝早くからは開いていないので、中心部から少し離れたところにある「アンドレ・カンプラの袋小路(Impasse André Campra)」と名の付いた道に行ってみました。道路なら開館時間などありませんものね。ちなみにカンプラは当プティ・ヴィオロンでもお馴染みの作曲家で、私の大好きなフランス・バロックの巨匠の一人です。後述しますが彼はこの街の大聖堂に奉職していた時期があったので、この道も彼と何らかの由縁があるのだろうと思いますが、下調べしても分かりませんでした。実際に行ってみると看板があるだけで周りは団地、完全なるジモティー(死語か?)の地域でした。しばらくカンプラに想いを馳せたところで退散。
中心部まで戻り、ガロンヌ川を見ることにしました。野鳥を観察しているムッシューが一人いるだけで誰もいない…。なにやら巨大な蜘蛛のロボットのようなものがありましたが、知人によると何かのイベントのためのものらしいです。
街を散歩すること数十分、観光客をあまりターゲットにしていない教会なら入れるかもしれないと思い、カンプラが奉職していたサン=テティエンヌ大聖堂へ。辺りは人気がなく、扉が閉まっていたので駄目かと思いきや入れました。巨大な空間に私一人。カンプラが見ていたのと同じ景色と思うと感慨深いです。祭壇も17世紀のものでした。
リュックが重かったのでしばらく信徒席に座って休憩した後、サン=セルナン・バジリカ聖堂へ。フランスで現存する最も大規模なロマネスク様式の聖堂で、見慣れたゴシック様式の聖堂とは違い素朴でどこか懐かしいような印象を受ける建築です。薄いピンク色の煉瓦でできた後陣と塔は素晴らしい美しさでしたが、祝日のためミサが行われており内部の詳細な見学や塔に登ることはできませんでした。また是非来たい。
10時になったので市庁舎へ。市庁舎前の広場は「バラ色の街」にふさわしく周りの建物が全て煉瓦で統一され、店舗の看板も景観保持のため金色になっています(お馴染みのマクドナルドもありました)。さながらイタリアのようです。いや行ったことないけど。市庁舎はルイ15世時代の建築で、ロココ調の内装はヴェルサイユで見慣れているもの。ヴェルサイユ宮殿の鏡の回廊に似せて作ったであろうギャラリーもありました。
次は楽しみにしていたジャコバン修道院。遠くからも見える八角形の塔はもちろんのこと、周りも美しい煉瓦積みの建物で占められていて、まるで中世にタイムスリップしたかのようです。中に入ってみると色鮮やかな壁面装飾にステンドグラスの光が差し込んで実に美しい空間を作っていました。そして有名な内陣の天井。ヤシの木のように一つの柱から放射状に22本のリブ・ヴォールトが伸びている様がとても感動的です。ちなみに写真で見るとリブは黒く見えるのですが、実際に見ると彩色が細かくなされています。奥へ進むとお土産屋の先に有料区域があり、正方形の中庭を持つ静謐な回廊や小さい聖堂を見ることができます。聖堂の一つには天井にフィドル(ヴァイオリンのような中世の楽器)を弾く天使がたくさん書かれているところがあり、壁画が淡い色調ながら実に美しく保存されています。中世の雰囲気に存分に浸ることのできる、おすすめの修道院です。
昼になり、大体のトゥールーズ観光ができたところで移動。3時間ほどアンテルシテ(これは昼行列車です)に乗車してニームへ。しかしダイヤが1時間ほど遅れるように予告されていて、着いたのは16:30でした。もともとニームの滞在時間は短く設定していたので、さらに短くなったことから各施設の内部見学は全て断念。
トゥールーズは中世の雰囲気が色濃く漂っていましたが、ニームはさらに遡り古代ローマ時代の遺跡がいたるところに点在する街です。中でも円形闘技場は世界一保存状態が良いといわれるもので、街の中で圧倒的な存在感を放っています。しかしもう建設から2000年以上経っており、風雨による浸食や後の時代の破壊行為などにより側面は想像していたよりはずっと不完全でした。世界一の保存状態と聞いて少し期待しすぎたか。でも一部は修復が行われているところがあり、その壁面は見事なものでした。今後の修復に期待です。
皇帝に捧げられた神殿であるメゾン・カレを少し見た後、フォンテーヌ庭園へ。広場の下に水路があり、その様子はルパン三世の映画「カリオストロの城」のラストシーンで湖の底から出てきたローマ遺跡を彷彿とさせるものがありました。傍らには崩れ落ちたディアーナの神殿があり、少し寂しい気持ちになりました。
奥にある階段から丘を登ることしばし、マーニュ塔へ到達しました。途中で足鈴を鳴らしながらハーディー・ガーディーを弾くおじいさんがいて、人だかりに混ざってしばらく楽しみました。マーニュ塔はニームのローマ遺跡の中でも最も古い建築で、塔に登ればニームの街が一望できる…らしいのですが、登らないと街は見えませんでした笑。ここももう閉まっているのでまたのお楽しみ。
日がとっぷり暮れた後、TER(比較的短距離を走る列車)に乗ってアルルへ。駅の自動放送の「アルル」の発音がやたらとかっこいい。駅前は世界的に有名な観光地とは思えないほどひっそりとしています。駅からほど近いホテルにチェックイン。
重いリュックを置いて、とりあえず夕食が食べられるレストランを探すことに。祝日なので閉まっている店が多く、選り好みしていると食べ損なうのでたまたま見つけた日本料理店へ入店。店主はとても流暢に日本語を話すフランス人で、小さい店内はほぼ満席。マグロ丼をいただいたところで、店主がおもむろに一人のマダムを紹介し始めました。その方はメニューのデザインを担当したマダムだそうで、よくよく話を聞いてみるとなんとこの店が今日開店したことを知りました。グーグルマップを頼りに見つけただけなので全然知らなかった。
懐かしい味を堪能したところで、ローヌ川を渡り「アンドレ・カンプラ通り(Rue André Campra)」に向けて夜のアルルを歩きます。途中に使われていない鉄道の跨道橋があり無駄にテンションが上がりました笑。アルルの「アンドレ・カンプラ通り」も看板があるだけでカンプラとの由縁は良く分からず、周りは住宅街でした。ここは「通り」と銘打っていますが実際はトゥールーズと同じ袋小路。
この後はホテルに帰って、1日目は終了です。

アルルのレポートまで書こうと思いましたが長くなってしまったので続きはまた次回。2日目はアルル、アヴィニョンへ旅を続けます。


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