ヴェルサイユのノートルダム地区(前編)

活気を見せるノートルダム市場

季節はすっかり秋になり、朝晩はだいぶ冷え込むようになりました。道行く人にはなんとコートにマフラーの人までいます。ちょっとそれは早すぎるのではと思うのですが、案外フランス人は寒がりなのでしょうか。
バカンスも今週で終わり、来週から音楽院の授業が始まります。ヴァイオリン科の顔合わせは今週ありましたが、他の楽器にはどんな人が来るのか楽しみです。
さて今週はヴェルサイユのノートルダム地区についてご紹介します。
普段私が行動するのは住んでいるサン=ルイ地区ばかりで、パリ通りを挟んで反対側にあるノートルダム地区にはあまり行かないのですが、実はここにも色々と施設や見どころがあって行ってみると楽しいものです。

  • ヴェルサイユ・ノートルダム教会
  • この地区のシンボルです。ルイ14世治下の1684年から建設が開始され、2年後に完成しました。設計は王の建築家でお馴染みのジュール・アルドゥアン・マンサールによりますが、王室礼拝堂やパリの廃兵院聖堂に比べて非常に静的な外観になっています。正面のファサードは中央扉の左右に2本ずつの円柱が配置され上部の三角の破風を支える構図になっていますが、バロック建築にしては凹凸がほとんど強調されず、装飾も控えめです。
    聖堂に入ると、左手にマンサールの胸像と彼を記念するプレートがあります。身廊(聖堂の中央部分)と側廊(身廊の左右部分)を隔てる壁面は古代ローマ風に円柱のピラスターと上部のフリーズが美しく配置されていて、華やかさは抑えられているもののこの辺りはマンサールらしさが感じられます。奥の内陣部分の天井の縁取りには花の装飾要素が取り入れられています。
    現在、一番奥には「シャペル・デュ・サクレ=クール」と呼ばれる円形の別の聖堂がありますが、これは19世紀になってから増築されたものです。

  • ノートルダム市場
  • ノートルダム教会から教区通りを東に進むと、交差点を囲うように建物が建てられた市場があります。ルイ13世時代からの長い歴史を持つこの市場は月曜日を除く毎日開催されていて、交差点付近の屋外、4隅の建物内で展開され活気を呈しています。ヴェルサイユでフランスのマルシェを堪能したいならここでしょう。
    地下には駐車場が整備され、4隅の馬に乗る貴族の絵でカモフラージュされたエレベーターで行くことができるようです。
    北西のエリアには古美術商店が多く立ち並び、18世紀の調度品たちが店内に飾られているのを窓越しに眺められるのですが、あまりにディープそうでまだ入る勇気がありません笑。まあ買っても今の部屋には置くところがないですしね。
    彼らはまた、ヴェルサイユ宮殿の散逸した調度品の買い戻しや修復にも一役買っているのです。

  • オシュ高校
  • ノートルダム市場をさらに東へ進むと、オシュ高校があります。この建物は元々、ルイ15世の王妃マリー・レグザンスカの命令により建てられた女子寄宿学校で、その後王室大学を経て今日のオシュ高校になりました。正門から庭園と奥の聖堂を覗くだけですが、ルイ15世時代の建築物として一見の価値はあると思います。

  • オシュ広場
  • 今度はノートルダム教会から南に行ってみましょう。1671年にこの地区を飾るために計画された八角形の広場で、当初は噴水広場と呼ばれていました。周囲の建物は殆どが住居ですが、現在でも八角形の広場の構造を保っています。
    今日では噴水はなく、中央にはヴェルサイユ生まれでフランス革命に参加した将軍であるラザール・オシュの銅像が置かれています。銅像周辺の木の下では昼間は年老いたマダムやムッシュが談笑し、夜は若者が屯して騒いでいます。
    ちなみにノートルダム教会からこの広場の方を見ると、オシュの銅像の向こうに宮殿前にあるルイ14世の騎馬像が見えます。整備された美しい街並みですね。

  • 水源のパヴィリオン
  • オシュ広場から西へ進むとすぐ、ルイ14世様式の建物があります。説明をよく読んでみるとここの地下には周辺の噴水へ水を供給するための貯水池があったとのことで、付属の建物が今日でも残っています。通り沿いの建物のドアには呼び鈴とネームプレートがあったので、現在は住居になっているのでしょう。この建物に住めるのか、すごいぞヴェルサイユ。

  • 王妃の厩舎
  • 当初はルイ14世の馬のための厩舎としてルイ・ル・ヴォーの設計により建設されましたが、まもなく宮殿の正面にマンサールの設計による巨大な厩舎が造営されたため、この厩舎は王妃のための馬の厩舎となりました。現在は控訴裁判所となっているため観光目的で入ることはできませんが、正門から中庭とコの字形の厩舎の建物を見ることができます。砂岩と赤煉瓦を配置したルイ13世様式の美しい建物です。

あと4つ紹介したいところがあるのですが、長くなったので来週に持ち越したいと思います。