ヴェルサイユ便り

オディール・エドゥアール女史のマスタークラス

2 7月 2020

ここ数日間はやや涼しくなりましたが、先週は快晴で気温が30度を超える日もあり、いよいよ夏本番かというところです。
先週の金曜日にはパトリックのレッスンがあり久しぶりに音楽院に入りましたが、入り口には消毒ジェルが設置され当日レッスンを受講する生徒かどうかを名簿でチェックしており、学校での自主練習は当分できないのだそうです。アンサンブルの授業も今期はもうないようで、このままおさらばという人も多いのではないでしょうか。
またヴェルサイユ宮殿の庭園では先週から9月まで毎週土曜日の夜に花火大会が行われ、夜10時頃になると破裂音が私の家まで聞こえてきます。私が来週から出演予定の夜会の方も無事に第一週目を終えたようです。

さて今回は土曜日に行われたオディール・エドゥアールOdile Edouard女史によるマスタークラスの模様をお伝えします。
オディール・エドゥアール女史は長年にわたりリヨン国立高等音楽院のバロック・ヴァイオリン科で教鞭をとっているフランスでも高名な演奏家、教育者です。日本人で現在活躍しているバロック・ヴァイオリニストでもオディール門下の人は多く、当アンサンブルでもお馴染みの出口実祈さんもその一人で、彼女のこの数年間の急激な成長と活躍ぶりはオディールなしには語れないでしょう。
そんな出口さんからオディールがパリでマスタークラス(Mini-stageということでしたが実際はマスタークラスでした)を開くという話を聞き、すぐに参加を申し込みました。今回は完全無料ということでかなりの希望者がおり、本来25日木曜日だけだったはずが土曜日も開催され、私は2日目になりました。
テーマはルクレール、ギユマンなどを中心にフランス18世紀前半のヴァイオリンデュオまたはソロ作品ということで、私はヴァイオリンの知り合いとはどうにも都合がつかなかったのでチェロの知り合いにバスを頼んで、モンドンヴィルの『倍音によるソナタ』作品4のソナタを持っていきました。
ノースリーブのワンピースにサンダルの出で立ちでアクティブな感じのオディール。話してみるととても親切で包容力のある雰囲気がすぐに伝わってきました。教育者にはぴったりの性格といったところですね。
私のレッスンでは主に音色や表現の違いをもっとはっきり出すということ、それを一緒に弾く人に演奏の中で強く主張していくということと、肩の力を抜いて右手をしなやかに扱うことなどを指摘していただきました。いずれも長期的な課題ですね。特に右手の技術やエクササイズについては後のレッスンでも度々話題にしていて、とても参考になりました。
他の受講生はこの日は全員デュオで、ルクレール、ギニョン、ギユマンを聴くことができました。数人見かけたことがありおそらくパリ地方音楽院の生徒が多かったのだと思いますが、まあ個々のレベルはピンキリといった感じですね。
終盤あたりから聴講生に対して、この曲の発想記号(アレグロやアンダンテなど)は何かというクイズコーナーがありましたが、正解するのはかなり難しかったですね。即ち聴き手が事前に知らなくても曲のテンポや表現から作曲家の指示を読み取れるように演奏しなければならないということです。
最後にお礼とお別れの挨拶をした時に「一緒に弾く人に自分のやりたいことをしっかり主張してね」と念を押されました(笑)。頑張ります…。

次回は今年こそは夏を快適に過ごしたい!ということで私の2年目の猛暑対策をご紹介したいと思います。


失われた3ヶ月と久しぶりのヴェルサイユ

24 6月 2020

王妃もマスク着用でお買い物

不定期更新と言いながら自粛生活続きで大して書くこともなく、約3ヶ月が過ぎてしまいました。先週末にようやくヴェルサイユへ戻って参りました。
思い起こせば日本へ緊急帰国した直後にパリがロックダウンし、交通網が麻痺して空港へ行くことも困難になったと聞き及びますので、早く決断してよかったなと思いました。ロックダウン中のパリの様子はニュースで見ましたが、いざ帰ってきてみると電車やバスでは全員がマスクを着けているという、以前では考えられないような状況になっています。それもそのはず、今や公共交通機関でマスクを着用していなければ135€の罰金が科せられるのです。以前はマスクを着けているとあからさまに避けられたり、「お前はコロナに感染しているのか」と聞かれたりする(実際に一度聞かれました)ので肩身の狭い思いをしていましたが、これで大手を振ってマスクを着用できます。ただ着用が義務でない場所では彼らは相変わらず殆どマスクを着用せず、カフェやバーで以前と同じように密集して食事や飲酒を楽しんでいて、日曜日の夜などはバーの前で音楽を大音量でかけてロックフェス状態に…。人々の意識はそう簡単に変わらないということですね。あと屋外を出歩く際にはマスクが必要ないのは同意できるのですが、着用が義務付けられている時だけ形だけして後は取ってしまうとなると、頻繁にマスクの表面や顔を触ることになるのであまり意味がないのかなと思います。

今回は、この3ヶ月の私の動向と、その時考えたことを綴ってみたいと思います。
まず羽田空港に降り立って、入国手続きの中で日本の水際対策を実際に垣間見ましたが、率直に申しましてあまりに緩いなと思いました。当時は中国の湖北省を始め幾つかの省とイタリアからの渡航者しか制限を設けていなかったように記憶していますが、中国は中国全土、イタリアはEU全土を制限対象にしていないと全く意味がありません。陸路で別の制限対象域外に移動してそこから渡航して、制限域内にいたことは黙っていれば容易に入国できるということですからね。特に中国は武漢の都市封鎖の前に既に半分の住民が脱出していたと聞き及びますからなおさらです。インバウンド需要の落ち込みなど気にせず、もっと早く広域にわたって入国禁止措置をしていれば今のような結果は招かなかったと思います。日本は島国で空路か海路でなければ入国できず、EUのように他国に意思決定を左右されることがない。後になって今のように世界中の国々からの入国を禁止できたわけですから、もっと早くできなかった理由がないですよね。ただこれを追求する政治家やマスコミがほとんどいないのは、やはり日本は大きな闇を抱えているという他ありません。
あと、帰国してくる邦人に対しても2週間の「自己隔離要請」しかできないなど何ともおかしな話です。空港や港の周辺の宿泊施設を借り上げて2週間そこに滞在してもらうくらいのことはやろうと思えばできるはずですが、未だにそのようなことはありません。そして「要請」は強制力がないので拒否されればどうにも手出しができない。この問題の根源は要するに、憲法に行き着くわけです。
そんなことを考えながら2週間、自分がもし感染していたら両親に移してしまうとやや不安に思いながら自宅に引きこもって過ごしているとまあ、早々に自粛生活に嫌気がさしてきたんですね。まだ緊急事態宣言が出ていない最中、もう感染爆発のピークは過ぎたのではないかという情報を聞いたこともあって、家族3人で熱海の温泉へ車で出かけました。ちょうど桜が咲いて皆心が緩んだのか、皆同じことを考えたようで道中の神社などは結構な人出でした。1泊2日で少し遠出するだけでかなり気が晴れましたが、間もなく緊急事態宣言が発出されると「あれはまずかったかも」と両親と話していました。緊急事態宣言の発出も遅かったですよね。
4月に入ると欧米主要国での感染が非常に拡大し、フランスへ帰る見込みは全く立たなくなりました。4月の初旬に適当に予約していた飛行機は欠航になり、バウチャーが発行される…はずが現在に至ってもまだ発行されません。航空業界も相当混乱しているのでしょう。4月に予定されていた、ヴェルサイユ・バロック音楽研究センターとパリ地方音楽院の合同開催によるマラン・マレのオペラ上演計画も流れ、ひたすら自宅に籠って練習をする毎日。両親ともに在宅勤務となり、こんなに長い時間家族揃って過ごしたのは史上初だろうなと話していました。食材は週1回の買い物と生協の配達で済ませ、一週間分の献立を主に私が考えていました(作るのは母ですが)。自粛をせずに遊びほうけている人たちがテレビで紹介される中、我が家は表彰されても良いくらいの自粛生活でしたよ。
そんな中、両親はテレビ好きなので我が家ではテレビニュースを頻繁に目にしたのですが、改めて見てみると想像以上に日本のメディアは酷いですね(日本のメディアについては依然記事を書きましたのでそちらをご覧ください)。色々ありましたが特に酷かったのは一時期話題になった検察庁法改正案の件。大量のスパムツイートによって人為的なトレンドを起こし、芸能人やマスコミを使ってありもしないストーリーを捏造して喧伝した結果、ついに政治を動かしてしまう。一体これらの背後にいる黒幕は誰だったのでしょうか。まあ政治を動かすといっても、結果的に公務員の定年延長引き上げそのものが丸ごと廃案になってしまい、これに反対していた野党は支持母体である公務員の労働組合から猛反発を受けてこの件はすっかり鳴りを潜めてしまいましたね。
メディアや政治の話題はこれくらいにして、この期間中パトリックにオンラインレッスンをお願いしました。まず動画を撮って送り、WhatsAppというアプリでビデオ通話しながら受講しました。少しだけ繋がりにくい時もありましたが、概ね快適にやり取りできましたね。背後のキャットタワーにわが家の猫が映り込んだりもしました(笑)。
自粛生活の最中、ずっとヴァイオリンを弾いているわけでもないので余暇の時間も色々と工夫しました。家族で映画やお笑い番組を観たりすることも多々あったのですが、両親が仕事をしている時間はそういうわけにも行かず、蒸気機関車のペーパークラフトを作ることにしました。Canon社が無償提供しているコンテンツで、これがかなり充実しています。色々悩んだ挙句日本の代表的な蒸気機関車の一つであるC57形を作ることにしました。ただ仕様通りに素組みするのも何かつまらないので、自分で違う機体をプロトタイプに選んでナンバープレートや追加の部品を作ったりして色々楽しかったのですが、そこに時間をかけ過ぎてまだボイラーと機関室周辺しか完成していません。かなり精巧で部品が多いペーパークラフトなので、帰国したらまた地道に仕上げていきたいなと思っています。
6月になって、7月から出演予定のヴェルサイユ宮殿の夜会が迫ってきて、2週間の自己隔離期間を考えるとそろそろヴェルサイユへ帰ることを考えなくてはならなくなりました。フランスの感染状況は日本と比べて依然として厳しいのですが、何せ仕事ですし念願であった鏡の回廊での演奏なので、絶対に参加できるように日程を逆算して先週金曜日の飛行機を予約。結果的に当番は7月の2週目からになりましたが、事前のリハーサルが今週に設定されたので丁度良い日程になりました。
成田空港についてみると、東京国際空港とは名ばかりに閑古鳥が鳴いていました。それもそのはず、出発便は合計で8本しかなかったのです!乗ったのはエールフランスの直行便でしたが、無事に出発出来て良かったなと思いました。ところで現在、フランスへ入国する際にはコロナウィルスの症状がない旨の宣誓書と第三国からの移動証明書の2通を作成する必要があるのですが、日本でのチェックインの際に一度確認されただけで、肝心のフランスでは結局要求されずに入国してしまいました。なんて緩いのでしょう…。日本旅券だったからなのでしょうか。
無事にヴェルサイユの自宅に着き、翌朝から3か月不在だった部屋の大掃除と片付けをしました。家を出たのは3月でしたから、まだ羽毛布団やホットカーペットが出ていて時の流れを感じましたね。
一昨日はヴェルサイユ宮殿の夜会に向けてのリハーサルがありました。全てJ.-P.ラモーの曲によるプログラムで、最初に音楽院で軽く合わせがあった後にいよいよ鏡の回廊でダンサーたちと合わせました。18世紀風の衣装の試着もあり、他のメンバーはリハーサル前に脱いでしまいましたが私は嬉しくてリハーサル中もそのまま着て弾きました(笑)。夜会の詳細についてはまた7月に触れますね。

次回は今週末に受ける、オディール・エドゥアール女史のマスタークラスの模様をお伝えしたいと思います。


パトリックのオーケストラプロジェクト…中止、そして逃亡

18 3月 2020

まずは先週行われていたパトリック主宰のオーケストラ「レ・フォリー・フランセーズLes folies françoises」のリハーサルの模様をお伝えします。

今回の公演はモナコ、オルレアンを回り、ルベルのバレ「元素」、ルクレールのヴァイオリン協奏曲によるバロックプログラムとヤン・マレシュYan Mareszの新作「衝動Tendances」の演奏が行われる予定でした。

ルベルの「元素」はずっと演奏してみたかった曲で、第一曲「カオス」でトーン・クラスター(2度音程を密集させた強烈な不協和音)に近い和音を使用するというセンセーショナルな作品です。私はこの曲のみオート・コントルのヴィオラを担当しましたが、弾いている方は自分の音が大きく聞こえるので意外とえぐみは感じないものなんですよ。ヴァイオリンの「火」を表す目まぐるしいパッセージは弾いていてとても楽しそうでした。

ルクレールの協奏曲は昨年ノルマンディーのオーケストラで弾いていたものと同じ曲で、勝手知ったるで弾くことができました。

問題はマレシュの新作。オーケストラパートの楽譜はあまり複雑ではないのですが、モダン・ヴァイオリンのソロパートは大変難しく、ソリストのカン・ヘスンはとてもよく弾きこなしていましたが何せオーケストラとのすり合わせが難しかったです。あと初日からマレシュがリハーサルに来ていて、強弱やニュアンスを現物合わせで細かく指示していたので、それにも時間をかけなければなりませんでした。全体は10のセクションに分かれていて、最後のセクションは弦楽器が16部音符を刻み、アクセントで分ける音のグループが2から8まで順に増減する仕掛け。5と7が難しくてみんな練習していましたね。

さて、初リハーサルが終わった木曜日の夜、マクロン大統領がテレビ演説を行いフランス全土の学校の閉鎖、移動や集会の自粛要請を発表しました。演奏会は当然集会にあたるため、翌日のリハーサルではおそらくオルレアン公演は中止になるだろうという話がなされましたが、モナコはフランスではないのでどうなるかまだ分かりませんでした。しかし翌土曜日朝にはモナコ公演の中止連絡を確認し、その他3月に予定されていた予定も全てなくなったことで、直ちに日本へ逃げることにしました。2週間以上予定もなく小さい自室にいるのは辛いことに加え、彼らは基本的にマスクをしていないこと、公衆衛生のレベルが日本に比べて低いこと、この期に及んでも彼らはバーで夜遅くまで飲んで騒いでいる(声が深夜まで聞こえていた)ことなどを考えると、さらに感染は加速するだろうと思ったためです。当日夜の航空券を即予約、往復券ですが現在KLMオランダ航空(エールフランスの共同経営社)では予約変更手数料が特別免除となっているのでとりあえず4月頭の便を適当に予約。突然の予約でしたが片道472€と特別高いわけではありませんでした。
そそくさと荷造りをし、フランスを脱出。夜だからなのかこの状況だからなのか、シャルル・ド・ゴール空港はまさにもぬけの殻…。機内は空席が割とありましたね。
日曜日の夜に日本に着きましたが、その後フランスでは商店の閉鎖、逐一証明書が必要となる外出制限、EUはシェンゲン圏境封鎖(一部加盟国は国境封鎖)、そして今日には日本政府がフランスを含むヨーロッパ各国他の日本人を含む入国者の14日間の隔離措置を21日から行うことを発表しました。今思えば躊躇なく帰ってきて本当に良かったなと思っています。
突然の帰国なので特に予定もありませんが、日本にも感染リスクがないわけではないので基本的には家で読書などしていようかなと思っています。両親もほとんどの日がテレワークになっていて、久しぶりの一家団欒の日々です。

今回はオーケストラプロジェクトと日本への逃亡の話でした。帰国時期は未定ですので、それまでは不定期更新とさせていただきます。


フランスの新型コロナウィルス感染と対策グッズ他の販売状況

11 3月 2020

ほとんどの薬局には入り口に「マスクと消毒液の在庫はありません」という張り紙が出されています

今回も新型コロナウィルスの話題になりますが、フランスではこの数日で急速に感染が拡大しており、私が確認した最新情報では前日から300人ほど増えて1784人、33人死亡となっています。首都圏ではまだ集団感染は報告されていないようですが、その他の県ではいくつか確認され、そうしたところでは幼稚園から高校までの閉鎖措置が取られています。また1000人以上の集会は禁止されています。今月参加するパトリックのオーケストラプロジェクトや予約しているヴェルサイユのスペクタクルもどうなることやら…。
また先ほど入った情報によると、ヴェルサイユ地方音楽院の教師1人の感染が確認され、一緒に活動していた生徒数人も隔離対象になったとのことです。幸い私が普段活動していていない校舎での出来事だったようですが、来週予定されていた校内演奏会は中止になり、学生生活にも影響が波及し始めています。
さてそんな中、フランスでの感染対策グッズ他の販売状況などはどうなっているのか、昨日いろいろな薬局とスーパーマーケットを回って調べてきました。
まず世界的に不足しているマスクですが、フランスでは先週、医療用マスク(FFP2タイプ)の国内の在庫、5月末までの生産分を全て政府が管理し、医療機関と罹患者へ供給することを発表しました。購入するには処方箋が必要とのことで、予防のために購入することはできなくなりました。私がAmazonで注文したマスクもおそらく当分届くことはないでしょう…。またこれによりマスク着用者=罹患者という公式がほぼ確実なものになるので、残り少ない手持ちのマスクも着用して出歩くのは一層困難になりそうです。日本と同じように高額転売の案件もあるようで、逮捕者もでているとのこと。Amazonには怪しげな商品もありますが、中国系の業者だと使用済みのものかもしれないのでやめておくことにしています。
そもそもフランスでは公式見解として「マスクは感染予防には効果がない」とされています。需要に対して供給力が圧倒的に少なく、手に入らないことでパニックを起こさないようにする意図があるのかもしれませんが、ないわけはないと思ってしまいますね…。
次にアルコール消毒液ですが、こちらは徴集はされていないものの政府によって販売価格が設定されており高額販売できないようになっています。しかしいずれの薬局、スーパーでも品切れで、あるのは赤ちゃんの体を拭くためのスプレーくらいでした。先ごろ各薬局で調合した消毒液を発売できるよう法令が出されたそうなので、これから少しずつ供給がなされていくと思います。また代用品として日本でも注目されている次亜塩素酸ナトリウムの漂白剤(ジャヴェル水)はまだまだあるようなので、手持ちの消毒液がなくなったら購入を考えてみます。
医療用というわけではありませんが、ゴム手袋はスーパーに在庫があったので10セット入りを1つ買っておきました。
あとデマにより世界各国で品薄になりつつあるトイレットペーパー他の紙製品は、全てのスーパーに山ほど在庫があり、セールをしているくらいでした。フランスは大丈夫なのか、あるいはこれから無くなるのでしょうか。

隣国イタリアでは感染者が1万人を突破し中国に次ぐ世界第2位になり、オーストリアとスロベニアは国境を封鎖しました。マクロン大統領はこれについて「誤った判断だ」としていますが、さてこれからどうなるでしょうか。残念ながらフランスは世界第5位の感染者数となっています。

次回は今週から始まるパトリックのオーケストラプロジェクトについて書こうと思います。


新型コロナウィルス感染拡大とアジア人差別

4 3月 2020

フランスでも新型コロナウィルス感染が広がっています。最新発表で212例、先週には感染経路が不明なフランス人60代男性教諭が残念ながら死亡しました。保健省はオワーズ、アヌシーなどいくつかの地域で集団感染が起きていると発表しています。ルーヴル美術館は職員たちが感染リスクを恐れて出勤を拒否したことで休館になりました。
まあこれだけマスクをしないで挨拶をするたび抱き合ったりビズしたりしているわけですから感染が広がるのは時間の問題だと思っていましたが、この期に及んでもマスクをしている人はほとんど見かけません。先週、所用で空港まで行ったのですが、空港関係者でさえほとんどマスクをしていませんでした。中国を始めいくつかの国からの渡航者の「監視を強化する」だけで制限が何も行われていない中、防疫は一体どうなっているのでしょう。
ヴェルサイユ宮殿周辺では中国の団体旅行が禁止されているため観光客は少なくなっていますが、気になるのはそれを差し引いてもマスクをしているアジア人が数週間前と比べて減った印象を持つこと。マスク不足によるものなのかもしれませんが、ウィルス感染者と思われることを恐れて敢えてしていない人もいるのかなと思いました。
先日の記事にも書きましたが、フランスでは「マスクを着用している人=何かの重症者」というイメージが定着しているようで、実際に出歩いてみるとやはり少し人が遠ざかったり、電車に乗ったら席を譲られたりします。2月あたりから新型コロナウィルスの警戒感が広まり、一回メトロに乗った時めちゃくちゃな英語で「お前はコロナウィルスか」と聞かれたことがありました(笑)。
こういったことは別に無視していればそれでいいのですが、やはりそういった反応をされると少し嫌なので電車に乗るときには何となく座席に座りに行くのを躊躇ったりしてしまいます。あるいはマスクを取ってしまうか。
ただ、こう感染が広まってくるとたとえマスクをしていなくてもいずれはこういった反応をされてしまうのではないかと思っています。私はまだ経験がありませんが、既にこういった事に遭っているという話もちらほら聞きます。「日本人だから大丈夫」と言えば良いと最初のころは思っていましたが、今や日本も汚染国として認識され始めてきているのでもうそういうことも言えません。そもそも彼らは私たちアジア人を日本人、中国人、韓国人…というように区別できないので、アジア人=人口が圧倒的に多い中国人と思ってしまうのは仕方ないことかもしれません。ただ、大元の原因は未だに西欧社会に残っている黄色人種に対する差別であると思っています。
1月26日、「クリエ・ピカールCourrier picard」紙のトップに「ALERTE JAUNE(黄色の警報)」という差別的な見出しで新型コロナウィルスの記事が掲載されたことで批判が殺到し、すぐに謝罪に追い込まれました。その後SNS上で「私はウィルスじゃない」というハッシュタグが広がりました。
素晴らしい先人たちの努力のおかげで第二次世界大戦後は白人至上主義がかなり薄らいできましたが、それでもやはり完全には無くならないもの。こうした非常時には見える形で出てくるのだろうと思います。
今後感染がさらに広がっていく中で、白人も感染している可能性が高いからもうあまり関係がなくなってくるか、ウィルスを持ち込んだ人々ということでさらに厳しい目で見られるか。少なくとも、日常の活動に影響が出なければ良いなと思います。
あと、感染者が増えることでこれ以上海外で日本や日本人の評価が下がりませんように!政府や国民一人一人の良い対応に期待しています。

次回は引き続き新型コロナウィルスに関連して、フランスでのマスク他感染症対策グッズの販売状況をお伝えしたいと思います。


サン・ジョルジュ・コンソートの演奏会

26 2月 2020

今回の主役、 セバスティアン・ド・ブロサール(Wikipediaより加工の上転載)

今回は先週参加した「サン・ジョルジュ・コンソート」の演奏会についてご紹介します。
「サン・ジョルジュ・コンソート」は同じパトリックの弟子であるアレクサンドル・ガルニエくんが主宰していて、ヴェルサイユバロック音楽研究センターの歌手2人と器楽奏者数人で構成されています。年末にプロモーションビデオを撮影したので、良かったらこちらをご覧ください。

「プティ・ヴィオロン」にも参加して下さったファゴットの長谷川太郎さんも一緒に演奏しています。
本当はこの撮影の2週間後に本番をやるはずだったのですが、男性歌手の親族に不幸があって直前のリハーサルがすべてキャンセルになり、演奏会も中止になってしまいました。
今回の演奏会はそのやり直しというわけなのですが、長谷川さんは日程上参加できず映像に出ているヴィオルの女の子は事情により交代、プログラムも少々入れ替わり昨年のリハーサルはあまり意味のないものになってしまいました(笑)。
プログラムは「セバスティアン・ド・ブロサールの図書館での旅」と題されていて、様々な楽譜を収集していたフランスの理論家、作曲家であるブロサールの曲とそのコレクションに含まれているドイツ、イタリア、フランスの音楽を織り交ぜるという構成でした。ドイツはシュッツ、ブクステフーデ、ブルーンス、イタリアはベルターリ、メルラ、カレザーナ、フランスはシャルパンティエ、デュモンを演奏しました。
コンセプトと選曲がとても良い演奏会でしたが、中でも名曲だったのはブロサールのオラトリオ「悔い改めた魂と神との対話Dialogus poenitentis animae cum Deo」です。
https://youtu.be/m9luWuNvm4E
次々に拍子が変わっていき、とても切迫感がありますね!
ブロサールの作品はあまり演奏されませんが、この曲は編成が少なくコストもあまりかからないので業界の皆様は是非レパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。

さて企画は大変良かったのですが、メンバーとリハーサルには少々問題がありまして…。
まずリハーサルの開始時間になってもフランス人たちは平気で遅れてくるし、来たら来たでゆっくりコーヒーやお茶を淹れだす始末で…フランスの学生アンサンブルってこういう感じなんですかね。始まっても関係ないお喋りは多いし、演奏中に誰か発言しても止まるまでに時間がかかったりと、とにかくタイムロスが多いんです。その上全然譜読みしてきてなかったり、テンポ通り演奏できなかったりと、日本の現場だったら半分くらいの時間で仕上げられたんじゃないかと思いました。
あとはメンバーの中にカップルが2組いるからかどうなのか、遠慮のない会話を続けているうちにヒートアップして皆が苛立ってくることもしばしば。リハーサル初回だったか、女性歌手が耐えられなくなって途中で帰ってしまったこともありました。
結果、前日のリハーサルになってもまともに曲の最後まで通して弾けることは殆どなく、当日も本番ギリギリまでリハーサル(という名の半ば譜読み)が続けられました。本番は途中で止まることこそありませんでしたが、クオリティの方は「お察しください(笑)」でした。
8月にもまたプロジェクトをやるらしく今のところ参加予定なのですが、あまり気が進まないなあ…と内心思っています。まあ少し稼げるのが幸い。リハーサル終盤は彼らもタイムロスが多いことを自覚していたので、次は改善されることを祈ります。うーん、無理かなあ。

次回は「新型コロナウィルスとアジア人差別」について書いてみようと思います。


駿太のこだわりクッキング② カレー

19 2月 2020

カレーの魔力に憑りつかれる…

ここのところ急に雨が降ったりやんだりしています。寒さも和らぎ、もう春の到来でしょうか。
新型コロナウィルスの感染が世界各地で拡大していますね。フランスでの確認症例は11例に留まっており、数字上は対策できているような印象を持ちます。航空便についてはエールフランス航空の中国便は全便欠航していますが、それ以外の航空便は運行しているようです。それにも関わらずパリやヴェルサイユのフランス人たちは誰もマスクをしていません。それどころかアジア系の人(多分中国人)のマスク着用率はむしろ依然より減った印象があります。単純に中国からの観光客が減ったのか、それとも差別を恐れて敢えて着用していないか。もしそうだとしたらフランス人たちも既に保菌者ということに気づかぬまま拡散し続けるというかなり危険な状況になりますね。
中国人か?と聞かれ日本人だと答えると安心されるという話をちらほら聞きますが、日本の方でも対策を頑張ってもらわないとこのままではいずれ日本人も隔離、差別の対象になってしまうかもしれません。政府には頑張ってほしい所です。

さて、今回は駿太のこだわりクッキング第2弾、カレーをご紹介したいと思います。
前回のペペロンチーノの投稿では意外にもいろいろな方から好評を頂きました。「今度作ってみる!」と言って下さる方もおり、嬉しい限りです。
今回のカレーのレシピを研究した経緯ですが、まずフランスでは日本と違い「カレールウ」なるものは売っておらず、代わりにスーパーマーケットの一角には必ずスパイスコーナーがあり、ありとあらゆるスパイスやハーブが売られています。こちらに来てから数か月経った頃、そろそろカレーが食べたくなってきたので意を決してスパイスを買うことにしたのですが、まず何のスパイスを買ったらいいのか分かりません。色々調べた結果、「東京カリ~番長」さんのこのレシピにたどり着きました。
https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/tokyocurrybancho/17-00121
たった4種類で良いとは、何ともお手軽じゃないですか!日本ではカレールウを使ってしまう場合が多いと思いますが、こんなに手軽ならスパイスカレーをやらない手はないですよ!
ということで早速4つのスパイスを買ってきて、これを基にカレーを作りました。
これが…旨い!!!いわゆる日本の「お母さんが作るカレー」とは全く別物の、実に味わい深いカレーができました。最も日本で市販されているカレールウは専門家たちによりたくさんのスパイスや調味料が調合されているので、こちらの方が味わい深いはずなのですけどね。スパイスの種類を増やせば増やすほど、味としては輪郭がぼやけた特徴のないものになっていくようです。あとおそらく指定の水量が多すぎます。
そんなわけでこのレシピで基本的には満足だったのですが、そこは駿太のこだわりクッキング、徐々に改変を始めました。
以下改変点とレシピを書きますが、まずは「東京カリ~番長」さんのレシピに沿って一回作ってみて下さい。前回のペペロンチーノ同様、基本をしっかり固めてそこから発展させていくことが大事だと思います。あとスパイスの配合については完全に趣味の問題ですので、作り手によりいくらでも改変の余地があります。

【改変点】
・たまねぎを切る際、写真では根の部分を残してそこに包丁を入れるように紹介されていますが、根は不潔であることも多いので茎(根より内側にあり硬く捨てる部分)を残しながらぎりぎり根だけを落とすようにすると、みじん切りをする際に同じような手法を採ることができます。
・カレーを作る上で、如何にたまねぎの甘みを引き出すかが重要であると思っています。検討した結果、電子レンジで加熱した後に炒めると良いことが分かりました。
・香菜をいちいち買ってくるのが面倒なので、乾燥ハーブに置き換えています。
・トマトピューレーをトマトケチャップに置き換えています。ケチャップには通常いくつかの調味料が加えられていて、カレーのコクを出すのに有用だそうです。「東京カリ~番長」さんの他の記事でもケチャップの代用について言及していますが、トマトピューレーの場合の半分の量にすると良いとのこと。確かに入れすぎるとケチャップ味になってしまいます。
・スパイスの配合はクミンとターメリックが多め、チリペッパーはやや少なめに調整しています。クミンは個人的な趣味ですが、ターメリックはカレーの色を出すためのスパイスなのでやや多め、チリペッパーは入れすぎるとただ辛いだけで他の味がかき消されてしまうので少なめから調整していくのが良いと思います。
・4種のスパイスと塩を1つずつ器に出し個別に入れるよう紹介されていますが、1つの容器に入れてよく混ぜた上で加えた方が味の偏りがなくなると思います。
・個人的な趣味で鶏肉を牛肉に置き換えています。ヨーロッパの肉は臭みが強いので、塩、黒胡椒、ナツメグ、赤ワインで下処理を行います。
・個人的な趣味で大豆(フランスでは白いんげん豆で代用)、グリーンピースを加えています。
・煮込む際にローリエを投入します。

それでは以下レシピです。「東京カリ~番長」さんのレシピから改変のない場合は記述をそのまま引用します。

・材料(駿太の2食分、おおよそ3人前)
牛すじ肉:100g
玉ねぎ:小2個
大豆(または白いんげん豆)の缶詰:1/2、120g程度
グリーンピース:70g
トマトケチャップ:大さじ2
クミンパウダー:大さじ山盛り1(駿太は粉末と種子そのままのものを半分ずつハイブリッドで調合しています)
コリアンダーパウダー:大さじ1
レッドチリパウダー:小さじ1(多少少なめから調整)
ターメリックパウダー:小さじ山盛り1
にんにく:2片(10g)
しょうが:1片(16g)
塩:小さじ1(牛肉の下処理用と玉ねぎの脱水促進用は分量外)
黒胡椒:少々
ナツメグ:少々
赤ワイン:小さい器で牛肉が浸る程度
水:500cc
乾燥ハーブ(Herbes de Provence):大さじ3程度(お好みで調整)
砂糖・少々
調理油:大さじ3
ローリエ:2枚

・作り方
①牛肉を細かく切り塩、黒胡椒、ナツメグを振りかけながらすりこみ、赤ワインに浸しておく。
②玉ねぎをみじん切りにし、ラップをかけて電子レンジで6分加熱(我が家のレンジのスペックが未だに分かりません)。
③フライパンで調理油を強火で熱し、玉ねぎ、乾燥ハーブ(分量の半分)、塩4つまみを加えてアメ色になるまで炒める。途中で水100cc程度(分量外)の差し水をする。
④にんにく・しょうがを加え、青臭さがなくなるまで中火で炒める。
⑤トマトケチャップを加え、水分がなくなるまで炒める。
⑥火を弱めパウダースパイスと塩を加え、よく混ぜながら1~2分炒める(ここで「カレーの素」が完成)。
⑦①で用意した牛肉を赤ワインごと加え、「カレーの素」と絡めながら肉の表面が色づくまで中火で炒める。「カレーの素」が焦げないよう、最初は「カレーの素」をフライパンの片側にかき寄せ、もう一方で肉を炒めると良い。
⑧大豆(白いんげん豆)、グリーンピース、水、ローリエを加え、強火でしっかり沸騰させる。水は若干少なく入れておいて、足りなければ後から足す。
⑨弱火にし、ふたをしないで15分程煮込む(途中何度かかき混ぜる)。
⑩乾燥ハーブ(分量のもう半分)を加え、よく混ぜ合わせながら煮込む。
⑪砂糖を加えしっかり混ぜ合わせたら、塩味を調えて完成。

ポイントは「東京カリ~番長」さんの書いている「玉ねぎ炒めは強火でしっかり!」「煮込むときは弱火でじっくり!」「水も塩も後からでも足せます」が重要です。玉ねぎの焦げについては多少は気にしないと書かれていますが、やはり限界を超えてしまうと苦くなるのでギリギリを攻めましょう(笑)。
スパイスの調合については、趣味に合わせていろいろ研究してみて下さいね。そうしていくうちに、皆さんもきっとカレーの魔力に憑りつかれることでしょう。

次回は現在参加しているアンサンブル「サン・ジョルジュ・コンソート」の演奏会の模様をお伝えします。


J.S.バッハ無伴奏曲集のマスタークラス

12 2月 2020

マスタークラスはチェロ、ヴァイオリンの2日間行われました

先週は月曜日に校内演奏会、木曜日に王室礼拝堂木曜演奏会、土曜日に今回のテーマであるマスタークラスがあったのでとても忙しかったですが、今週に入り2週間のバカンスになったのでようやく一息つけるというところです。
このマスタークラスはヴェルサイユでは珍しく(?)J.S.バッハ、特にヴァイオリンとチェロの無伴奏曲集に焦点を当てたもので、講師はヴァイオリンにクリスティン・ブッシュChristine Busch、チェロにオフェリー・ガイヤールOphélie Gaillardを迎えて行われたものです。2人とも古楽的アプローチを主とする奏者ですが、古楽科だけの企画ではなく生徒はモダンとバロック半々くらいでした。
オフェリーの方は水曜日に行われていて私は行くことができませんでしたが、伝え聞くところによるとチェロの鳴らし方、重音奏法等々とても有意義なレッスンであったようです。
さて今回のマスタークラスのことは数か月前から予告されていたのでヴァイオリン科は各自バッハの無伴奏を用意しましたが、私はせっかくなので大曲であるソナタ第3番のアダージョとフーガに取り組みました。そうです、あのコラール(ロンドン橋の歌じゃありませんよ笑)に基づく長大なフーガです。体力的な問題はありつつも個人的には3つあるソナタの中で一番弾きやすいんですよね。
年明けからパトリックに何度もレッスンを受けましたが、問題になるのはいつもテンポがどうしても遅くなってしまう、音を持続しすぎるなどモダン時代の名残からくるものばかり。モダン時代にもこのソナタを好んで弾いていただけあって、どうしても抜けない習慣という物があるものですね。
クリスティン・ブッシュはシュトゥットガルト生まれのドイツ人で、アーノンクールのウィーン・コンツェントゥス・ムジクスやフライブルク・バロックオーケストラなどでの活動経験を持ち、ベルリンやシュトゥットガルトで教鞭をとりつつ古楽、モダン双方で活躍しているようです。今回も彼女はバロック、モダンの2つの楽器を持って来ました。
私の番の前に2人モダンの生徒がいましたが、これが何というか、何だか懐かしいような、15年くらい前は自分もああやって弾いていたなという感じでした(笑)。モダンの世界からはずいぶん前に離れてしまいましたが、ヨーロッパですら今でもこういう弾き方って一応主流なんですよね。しかも地方音楽院だからなのかどうなのか、レベルが正直あまり高くありません。1人目はソナタ第2番の第1楽章グラーヴェを弾いていて、バスラインの弾き方や和音の表現などがレッスンの中心でした。これはまあ、古楽的アプローチの入門編といったところですね。2人目はソナタ第1番の第4楽章プレストを弾いていましたが、こういった急速な楽章はモダン弓の問題が顕著に表れます。クリスティンは即座に自分のバロック弓を貸し与え生徒に弾かせると、この問題は9割方解決しました。この生徒の順応力の高さに皆驚いていて、クリスティンが「弾いたことある?」と聞きましたがその時が初めてだったとのことでした。それから彼女は持っているいくつかの弓を年代順に貸して最後に生徒のモダン弓に戻すと、もう弾き方が違います。こういう教え方もあるのだなと思いました(といっても私は中間年代の弓の持ち合わせがないので出来ませんが…)。
さて私の番。まずはアダージョを最後まで弾くと、論争の多い付点の匙加減問題からスタート。彼女は基本的には付点を長くせずに16分音符をほぼ音価通り弾くという立場のようで、私としてはこれは未だに結論は出ていませんが付点を若干長く弾いていたのでもう少し音価通り弾くよう勧めました。試してみるとこれが意外と良いんですね。後は和音の色付けや、多種類の音色を使い分けるようにとの勧めなどがありました。
次はフーガ。とにかく長大なので「反行形」の提示までのレッスンになってしまいましたが、フーガ主題のボウイングやアーテュキレーションがまず問題になりました。私は元が讃美歌であるコラールというだけあって全体的に滑らかに弾いていましたが、もう少し短く処理する音があっても良いとの勧めを受けました。後は細かいところは色々ありましたが、大まかにいうと壮大かつ重厚なフーガの中でいかに軽い部分を作るか、音色を使い分けて静かな部分を作るかという問題が大きく取り上げられました。
私の後は古楽科の同僚が、私のフーガとは一転して優雅なパルティータ第3番のガヴォット・アン・ロンドーを弾きました。さすがフランス人、弾き方がお洒落(笑)。クリスティンはドイツ人ですが負けず劣らず優雅かつ祝祭的な音楽の作り方を指導していました。
マスタークラスが終わって夜になると、ヴァイオリンとチェロの受講生の一部、クリスティンが演奏会を行いました。オフェリーは残念ながら来られなかったようです。私ももちろん弾きましたよ、アダージョとフーガ。通して本番で弾いたのは実は初めてかもしれません。良い経験でした。
私の後にはクリスティンが第3楽章と第4楽章を弾き、ソナタ第3番を通して聴けるような演出がなされました。最後に彼女はもう一度、今度はモダンヴァイオリンヴァージョンと題して同じ2曲を披露していましたが、私の個人的な感想としては、実はモダンヴァイオリンの方が上手なのではないか…ということでした。それだけ古楽的アプローチによるモダンヴァイオリンの弾き方が彼女の中で完成されているということと、あとは楽器のポテンシャルの違いも大きいのかなと思いました。バロックヴァイオリンに関しては好みの問題もありますので聴き手次第だと思います。彼女はこの無伴奏曲集を全て録音しているので、良かったら聴いてみてくださいね。

次回は前回好評だった駿太のこだわりクッキング第2弾、カレー編をお送りしたいと思います。


駿太の独り言① 日本のメディア

5 2月 2020

日本では新型コロナウィルスの影響でマスクが薬局やスーパーから消えたと聞き及びます。フランスではスーパーはおろか薬局にすらマスクは売っていないので先週アマゾンで注文したのですが、なかなか発送連絡がありません。ちょうど日本から持って来たマスクが残り僅かというところで今手元にあるのはあと1枚。マスクが届くまで宮殿周辺にはなるべく近づかないことで対応していこうかなと思います。

~~~注意~~~
今回の話題は個人の思想信条に大きく関わる内容となっています。なるべく中立的な書き方をしようと心がけていますが、私にも個人的な考え方がありますので特に対極にある考え方をお持ちの方はこの記事をお読みになって気分を害する可能性があります。少しでもこのようなことを感じた場合は直ちにお読みになるのを止めることをお勧めいたします。
以上をご了承の上、下記へお進みください。
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一昨年ヴェルサイユで一人暮らしを始め、この素晴らしい環境の中に身を置くことで自らにたくさんの変化がありましたが、それまでは分からなかった日本のことを、日本を出たことによって客観的に見ることができるようになったという事があります。そしてその中で最も大きかったのは、日本のテレビや新聞から完全に離れたことによって、メディアを自らの意思で選んで情報を精査するように努めるようになった事だと思っています。
皆さまは日頃世間の出来事をどのようにお知りになるでしょうか。旧来からある新聞、ラジオ、テレビなどに加えて現代ではインターネットが普及して情報を取ることのできる選択肢が広がりましたが、依然として新聞、テレビの力は大きいのではないでしょうか。
私個人の話をしますと、小中学生の頃は専らテレビのニュースを観ていました。特に両親や学校から教わったわけではありませんでしたが、何となく公共放送であるNHKが中立的な立場を取っているような気がしたのでNHKのニュースが好きだったのを覚えています。民間放送はニュースを見るためにCMを見る気はしないし、特に討論の場になると解説員とか専門家を名乗った人が出てきて好き勝手な事を言っているようなイメージが何となくありました。このような感覚は今思えば「ある程度」は的を得ていたなと思い返します。
その後いつからか分かりませんが、両親が好むようになったのか家庭では民間放送のニュース番組を見るようになりました。高校以降は音楽専門になり忙しくなったので、あまりテレビに時間を割く余裕もなくニュースもあまり積極的には見なくなりましたが、それでも食事の時間などは家族揃ってテレビを観ながら過ごす事も多く、ドラマやバラエティー番組の前後などで時折ニュースを見聞きすることがありました。
ちなみに新聞はというと、昔は我が家でも一紙購読していましたが随分前に止め、それ以来家から新聞はなくなりました。私は本格的な新聞記事を読む年頃ではおそらくなかったので、本格的に新聞を広げて読んだ経験は殆どありません。新聞社の方には申し訳ないのですが、今やインターネットが完全に普及しているのでこれからも紙の新聞を読むことはないのかなと思っています。
大学に入りパソコンやスマートフォンを使う機会が格段に増えると、ニュースもインターネットで読むようになりました。私がその頃好んで使っていたポータルサイトのトップページには目の付く所に最新のニュースが何項目か表示されるようになっていて、ニュースを読むつもりがなくても気になってついつい読み耽り、リンクから関連記事を延々と読み続けることもしばしばありました。この状態はヴェルサイユに来てから数か月過ぎた頃まで続きました。
しかしある時、奇妙な出来事に出くわしました。その記事は日本に近いとある国の事についての記事でした。いつものようにリンクから関連記事を読んでいくと、ほとんど正反対の記述がされている記事がありました。これは一体どういうことなのでしょう。しばらく考えて、その理由が分かりました。一方の記事は、そのとある国のメディアの日本語版記事だったのです!画面の体裁はそのポータルサイトのもので、記事の発信元を調べるまでは他の日本のメディアと見分けが付きませんでした。その国と日本とは主に歴史的事実において多くの異なった見解を持っていて国際問題になっており、その国のメディアの記事は自国の主張を擁護していることは容易に想像できました。
これをきっかけに、自分がメディアという物についていかに無知であったかを知りました。そのポータルサイトでニュースを読む時は必ずその記事の発信元をチェックするようになりましたが、記事の見出しだけでは分からないのでだんだん面倒になり、それなら一層のこと信頼できそうなメディアを選んでそのウェブサイトでニュースを読めば良いのではないかと思い立ち、日本の主要な各メディアについて調べ始めました。いや、これは衝撃でしたね。こんな重要なことをなぜ今まで知らなかったのか、なぜ誰も教えてくれなかったのか。
ここで、先ほどの質問に戻ります。皆さまは日頃世間の出来事をどのようにお知りになるでしょうか。もっと踏み込んで言うと、どのようにメディアを選んでそこから世間の出来事をお知りになるでしょうか。例えば新聞なら両親や学校の先生から勧められたとか、面白いコラムがあるからとか。テレビならたまたま家庭でよく観ているチャンネルだからとか、ニュースキャスターやアナウンサーに好きなタレントが出ているからとか。もしこのような理由のみでメディアを選んでいるのであれば、是非私と同じように各メディアについて一度調べてみることをお勧めします。
特に昨年は天皇陛下の御譲位に伴う皇室関連、前述したとある国を含む近隣アジア諸国関連のニュースが多かったことで各メディアの論調の違いは明確であったと思います。今年は自衛隊の海外派遣や憲法改正論議(全然進んでいませんが)、オリンピック・パラリンピック、そして目下進行中の新型ウィルス対策あたりが分かりやすい論題でしょうか。ピンときた方はその解釈で結構です。逆に全然ピンと来ない方は申し訳ありませんがおそらくメディアの思うがままになっています。
最も、完全に中立で正しいメディアなんていうものは存在しませんし(私がかつて信じていたNHKも然り)、極めて悪意のある捏造記事を平然と報道するメディアは論外としても、日本には言論の自由がありますのでいろいろな視点から報道するメディアがあって良いんです。しかし受け取り手である私たちは、それぞれのメディアが自らやその支持団体の考え方に基づいた主張に沿うように印象操作をして報道するということが日常的に行われているということを知らなければなりません。その有名な手法の一つがいわゆる「報道しない自由」です。都合の悪い事実は伏せて他の側面を強調することで、読者や視聴者が受ける印象を意のままに変えることができるのです。さらにその主張に沿うようなコメントをする解説員や専門家を選んで呼んできて、結果ありきの質問方法による世論調査のデータでも示せばもう完壁といった具合です。
では最初の質問の回答として、私たちはどうやってメディアを選べば良いのでしょうか。私の現在の考えは、それぞれのメディアについて良く知った上で自分の考えに最も近いメディアを選びつつ、時には違うメディアの情報も採り入れてみる。それらを全て鵜呑みにするのではなく5-6割程度に信用しておいて、ニュースの信憑性を疑った時にはそのソース(情報源)を辿ってみる、といった具合です。実際にこの作業をやってみると、そのメディアがソースの情報を曲解していたり付け足しを行っていたり、ひどいものになるとそんな事実はなかったりソースを途中で辿れなくなったりするなんてこともあります。
あともう一つ。立場の違うメディアが複数ある中、それらがある事柄について揃いも揃って「報道しない自由」を行使したらどうなるかという問題があります。この場合、インターネットなどを通じて他の情報を得ない限りメディアの思うがままに私たちは情報の遮断、印象操作をされてしまうということになります。これについては昨年の夏から秋にかけてとある県で行われた国際芸術祭内の展覧会についての報道が分かりやすい例でした。この展覧会はある特定の政治主張に基づくプロパガンダ作品のみで構成されていて、その内容は日本の国家や国民を貶め嘲笑するものでした。この展覧会は芸術祭の開幕直後から批判が殺到したことで間もなく中止されましたが、閉幕直前になって再び公開されました。この間、各メディアによって様々な報道がなされましたが、この展覧会の真実とその問題点を正しく報道したテレビ局は一つもありませんでした。新聞は私が日頃読んでいる新聞社だけがある程度正しく報道していましたが、それでもありのまま全てではありませんでした。実際、9割以上のメディアはその実態を報道しなかったので、これについて正しく理解している国民は少ないのではないかと思います。こんなにも多くの問題を抱えた展覧会はその後あまり糾弾されることもなく他のニュースに押し流され、今年はまた別の県で同じような展覧会が開催されようとしていると聞き及びます。この展覧会についての世論は「賛否両論」ですが、もし多くのメディアがその実態と問題点を正しく報道していたら世論は変わっていたでしょう。メディアはその大きな力で、世論を動かして国を変えることすらできてしまうのです。
それでは、こういった時に私たちはどうすれば良いのでしょうか。幸いなことに現代はSNSが普及して一個人でも情報を発信できる時代で、多くのメディアが目を背ける不都合な真実でも個人がそれを発し受け取ることができるようになりました。勿論不確実な情報やデマもたくさんあるので注意が必要ですが、メディアの力が及ばない所をこうしたSNSが補完していけるのではないかと思っています。前述の展覧会の実態についても、私はたくさんの個人から発信された写真や動画などを見て知ることができました。
インターネットの普及により情報量が増え、私たちには情報の真偽性を見極め取捨選択する力が求められていますが、これは旧来のメディアにも同じことが言えるのです。気づいたら日本が世論に基づいてとんでもない方向に向かって動いていた、あるいは既にそこにいたなんていうことのないように、メディアについて正しく理解している人が増えたら良いなと思います。

次回は今週末行われるマスタークラスについてのレポートを書きます。


駿太のこだわりクッキング① ペペロンチーノ

29 1月 2020

ニンニクの香ばしい匂いがたまらない

今週、パリ交通公団RATPの最大組合Unsaが無期限ストライキ終了を発表しました!!!パチパチ~。パリの交通機関や近郊電車はとりあえず通常運行に戻るようです。
結局政府からは年金制度改革についての譲歩は引き出せず、1か月超のストライキ中無給だった労働者がついに耐え切れなくなり折れた格好。一方でフランス国鉄SNCFの組合は譲歩を引き出すまで終了しないとなお強硬姿勢の様子。いつまでやるんですかねー。
ちなみに国鉄が運行しているはずのRERの一部やTransilienは通常運行ということです。

中国で発生した新型肺炎が現在猛威を振るっていますね。フランスではヨーロッパで初めて感染者が確認され、現在は3人となっているようです。旧正月の春節を迎え日頃に増して中国人旅行者が増える中、ヴェルサイユは日頃から中国人ばかりなので増えているのか減っているのか良く分かりませんがとりあえず彼らはたくさんいます(笑)。演奏会の際以外はなるべく宮殿には行かないようにしようと思っています。
厚生省がマスクの着用を推奨しているので私も先週からマスクを着用し始めました。ところが街中はおろか、宮殿でもマスクをしている人はほぼ中国人(に見えるアジア系の人)だけです。せめて宮殿のスタッフくらいは着用したらどうかと思うのですが、私が見た限りではスタッフは1人しかマスクをしていませんでした。フランスではマスクの着用が一般的ではなく、マスクをして街中を歩くと何かの重篤患者かと思われて変な目で見られるという話を聞いたことがありましたが、実際着用して出かけてみると挨拶がなかったり周囲の人が離れて行ったりと、やはり反応が違いますね。厚生省にはもっと強く着用を勧めてもらいたいものです。パリやヴェルサイユにはあれだけの中国人が来るのですから、中国に渡航歴のない感染者が出るのももう時間の問題かと思います…。
状況が変わりましたらまた随時発信していきます。

さて、今回は「駿太のこだわりクッキング」ということで、第1回目はペペロンチーノを紹介します。
日本での学生時代は小中学校の調理実習くらいで料理はまったくやっていませんでしたが、留学生活をするにあたり自炊する練習をしようということで母から手ほどきを受けて一昨年の4月あたりから少しずつ佐藤家の食卓を担当するようになり、最後の7月あたりには殆どの夕食を私が作るようになっていました。
最初は幼い頃から食べてきた母のレシピに基づく料理を作っていましたが、次第にクックパッドなどを参照しながら新たな料理を作るようになりました。今まで料理は面倒なものだと思っていましたが、やってみるとこれがとても楽しいんですね。選んで買ってきた食材がだんだん自分のイメージに近づいてくる過程、加熱や調味料のさじ加減1つで味が変わってしまう奥深さ。私の師匠たちを始め良い音楽家は大抵料理が上手である理由は、料理が音楽と似ているからなのだなと思いました。
さてそんな中ヴェルサイユに来て数か月経った頃でしょうか、大分フランスで安くて美味しい食材が分かってきたところで私には食べたいパスタがありました。ペペロンチーノです。ちょうど知り合いから譲ってもらった鷹の爪もあって、クックパッドを見ながら早速作ってみました。しかしできたのはイメージとはかけ離れたイマイチな代物。ニンニクの味わいもないし、なんだか水っぽいし、もう全然だめでしたね。そこから数週間というもの、どうにかイメージに近いペペロンチーノができないものかと作り続けました。最盛期には週4回くらい作っていましたね。その頃通っていた語学学校にイタリアンシェフの友人がいたので上手くいかない点を相談したりもしました。彼女曰く「シンプルなだけにはっきり料理の腕が出る難しい料理」だそうです。
あと上手くいかない原因はフランス特有の簡易キッチンにもあり、我が家にはコンロはなく旧式の電熱調理器が大小1つずつあるのみです。当然ながら電熱調理器は火のように急に点けたり消したりできないので、タイミングを誤るともうどうにもなりません。この点もかなり考えて、それでも何とか調理器1つのみで上手く調理する方法を編み出しました。
プロは「ソースの出来上がりをパスタの茹で上がりにぴったり合わせる」そうですが、私は調理器の問題もあり先にソースを作っておいて途中で中断し、その間にパスタを茹でて再度加熱する方法を採っています。
長くなりましたが、以下レシピです。

・材料(1人前)
ニンニク 大きければ1かけ、小さければ2かけ
鷹の爪(乾燥唐辛子)3/4 ※大きさにもよりますが1本だと辛すぎることが多いです
オリーブオイル 大さじ2.5(約40ML)程度
パスタ 120g
粉塩 湯1Lあたり大さじ1
黒胡椒 少量

・作り方
①ニンニクを半分に切って芯を取り、縦に2つ切り込みを入れた後スライスする。
②ポットでパスタを茹でるための湯を沸かし、鍋に塩を入れておく。
③フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れ中火(我が家の電熱調理器では火力6段階で4)にかける。
※ネット上の多くのレシピには「とにかく弱火で!」と書いてあることが多いですが、試した結果中火程度でも良いと思います。ただし⑤のタイミングはシビアになります。
④ニンニクの周りが泡立ってきたら鷹の爪のヘタと種を取り、調理ばさみで輪切りにして入れる。唐辛子が太い場合は縦に切ってから輪切りする。電熱調理器の場合はこの後パスタを茹でるために最大出力へ上げる。
※唐辛子は焦げると苦くなるので注意が必要ですが、あまりに投入が遅いとオイルに辛味が移らないので注意が必要です。

オリーブオイルにニンニク、唐辛子を入れた状態

⑤ニンニクの縁が1つでも茶色くなったら(慣れてきたらその直前を見極めて)引き上げ、湯を注いだ鍋を代わりに強火にかける。
⑥塩が完全に溶け切るように菜箸で混ぜ、パスタを投入する。タイマーは指定分数分セット。
⑦茹で時間が残り2分になったら鍋を引き上げて残り時間は余熱で茹で、代わりにフライパンをやや強火にかける(電熱調理器の場合はここから次第に弱くなっていくよう1段階落とす)。この段階で余熱によりニンニクが少し色づいている程度であれば成功、完全にフライになってしまっているようなら⑤のタイミングを早くする。

乳化が完了した状態、今回の出来は70点というところか

⑧フライパンが熱を帯びてきて、ニンニクが少し泡立ち始めたらオリーブオイルと同量かやや少ない程度のゆで汁を、フライパンをゆすりながら少しずつ入れて乳化させていく。最初にゆで汁を入れたときに油が少し跳ね、ゆすった時にシャーという音がするくらいまでフライパンを熱すると成功しやすい。オイルがゆで汁と良く混じり、白濁すれば成功。ゆで汁がオイルより多いと確実に失敗する。
⑨乳化が完了する頃合で茹で時間を迎えるので、湯切りをしてフライパンに投入する。
⑩火を止め、菜箸で手早く混ぜ合わせさらに乳化を促進させた後、器に盛る。器はやや深さのあるものを選ぶとよい。
⑪黒胡椒を表面にうっすらとかけて完成。かけ過ぎると味が大きく変わってしまうので最後まで気を抜かないように。

味のイメージとしては食べた時に塩、ニンニク、唐辛子、オイルのそれぞれの要素が強く拮抗している状態が理想です。全体的にそれぞれの
主張が弱かったり、ある要素が突出してしまったりしていたら改善の余地ありと言えるでしょう。
あとできれば食べ終わった後、器にあまりオイルが残らない程度にオイルとゆで汁の量を調整できるとなお良いと思います。
特に乳化の工程は難しいので、納得のいくものができるまで何度も作ってみましょう。なおこのレシピではニンニクと唐辛子はそのまま具になっていますが、途中で取り出す方法もありますのでそこの辺りはお好みで。
基本がしっかりとできてしまえば、その後でトッピングを入れたりアレンジを加えても良いと思います。私は目下キャベツ入りのアレンジを研究中です。

ちなみに私は代謝が非常に良くて少し唐辛子を食べると大量に汗をかくので、食べた後はすかさずシャワーを浴びなければならなくなります(笑)。汗をかかないように唐辛子を減らしたこともありましたが、それだとやはりあまり上手くいきません。余談でした。

今回は駿太のこだわりクッキング第1回でした。レシピを文章で書くのは初めてなのですが上手く伝わっているでしょうか。
次回は趣向を変えて、最近社会のあることについて思う独り言を書いてみます。興味があれば読んでみてください。


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