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南仏旅行レポート① パリ~トゥールーズ

7 11月 2018

深夜の2等寝台車

寒い。すごく寒い…。いやはや、本格的に気温が下がってきました。
私の家には小さい電気ヒーターがあるのですが、出力を最大にしても部屋全体はなかなか暖まりません。下半身が寒いので、寝るときに使う肌掛けを体に巻き付けて生活するのが常になりました。ハロゲンヒーターでも買おうか…。

さて、今回から数回に分けて、先日の南フランス旅行のレポートを書きたいと思います。
10月31日、パリのオステルリッツ駅から寝台列車Intercités de nuit 3731(夜のアンテルシテ)に乗車、トゥールーズへ。寝台列車は日本の寝台特急「あけぼの」以来でとても楽しみにしていました。語学学校の授業を終えてから向かったので駅に着いたのは発車15分前でしたが、なんとホームにいる検札係の前にずらっと列ができているではありませんか。休前日だからか乗車率も大変良く、移動手段として生きた列車なのだなと思いました。牽引の機関車は私の大好きなBéton塗装のBB7200。
21:03、音も衝動もなくいつの間にか発車。寝台列車が発車する瞬間って何時になっても感動的です。ちなみにヨーロッパの客車は日本と違いバッファ(緩衝器)を搭載しているので発車時、停車時は全く衝動がなく快適です。今回利用したのは2等寝台車で、6人部屋のコンパートメントになっている3段ベットの最上段でした。日本のように各寝台にカーテンがなくセキュリティー面は多少心配なのですが、予約する際にいろいろと調べて最上段なら寝顔を見られず若干安心だという記述がありました。しかし残念ながら窓は下にあって、流れる車窓を見ることができない…。眠くなるまでまだ数時間はあるので、とりあえず持ってきたおにぎりで夕食をとり、寝間着の浴衣(日本の寝台車で着たJRの模様をあしらった思い出の品で、廃品市で購入しました)に着替えて廊下に出る。周りにも談笑している人たちがいて、とても活気に満ちています。でも廊下はとても狭くすれ違うのもやっとの幅で、日本の寝台車で好きだった小さな引き出しの椅子がない…。仕方なく立ったまま過ぎ去る景色を見ていました。といっても外は真っ暗ですが。ちなみに車内検札はありませんでした。
恒例の車内探検をしようにも通路に人がたくさんいて困難だったので、ベットに戻り眠くなるまで内職をしていたところ、突然下の男性が部屋の電気を消してしまい真っ暗になってしまいました…。いや一声かけてくださいよと思いながら、とりあえず少し寝ることにして車内探検は深夜にすることに。
ちなみに車内の装備について。まず各コンパートメントには施錠できる扉が付いていますが、他人と相部屋なので黙って施錠するわけにもいかず今回は開錠したままでした。ドアは開けると結構な音がするので深夜は頻繁に出入りすると迷惑となりそうです。扉の上にはコンパートメント内の室温調節のツマミ、車内放送の音量調節のツマミと室内灯のスイッチがあります。
中に入ると左右に3段ベットがあり、正面に窓と昇降用の梯子があります。梯子は日本の寝台車のように固定されているものではなく、下部は手前に引くことができますが折り畳むことはできません。
各寝台は転落防止の柵がないので寝相の悪い方は注意しましょう。日本と同じように読書灯が設置されていますがとても小さく、手元をわずかに照らす程度です。最上段には大きな荷物を置くことのできる棚があったので、スーツケースや大きなバックパックなどを持って乗車する際は最上段がおすすめです。
アメニティは日本のようにシーツや寝間着はなく、あるのは枕、寝袋のようになっている掛布団と小さな手さげの中に500MLのミネラルウォーター1本、お手拭き(顔拭き)、耳栓が入っていました。枕と掛布団はビニール袋に入っていて除菌されているようです。この手提げは保冷仕様になっていて実生活でも使えそうなので持って帰ってきました。多分貰えるのだと思います、多分。
各車両にはトイレと洗面所が設置されており、三面鏡があります。シャワーはありません。洗面台は顔を洗うには小さすぎ、水も1度に少ししか出ないので顔はおそらく備え付けのお手拭きで拭けということなのでしょう。
深夜1時。予定通りおもむろに起きて車内探検に出発。さすがにほとんどの人は寝静まっていました。編成は座席車、1等寝台、2等寝台からなっていて、2等寝台の一両は自転車置き場と車掌室、食事等ができる小さなスペースが付いていました。前方3両はスペイン国境近くのLaTour de Carolまで行くのですが、それ以外の車両はトゥールーズ止まりです。さらにその後ろには始発時には別の行き先の編成があったのですが、車内探検に出た際には既に切り離されていました。
最後部まで到達し、扉の窓から過ぎ去る信号機やホームの灯を眺める。夜行列車ならではの醍醐味です。
さて車内探検も済み、明朝5時半に起床。寝台で朝食をとりトゥールーズの到着に備えます。相部屋の方たちは直前まで寝ていて大丈夫かと思いましたが、到着まで残り10分ほどで車内放送が入ると全員起きて、速やかに下車していきました。私の方が準備に時間がかかったほど。
06:05、定時にトゥールーズ・マタビオ駅に到着しました。外はまだ暗かったです。

ということで、調子に乗って書いていたら旅が始まったところで今回は終わってしまいました。でもネットで検索してもなかなかフランスの寝台車の情報は少ないので、今後の日本人旅行者の参考になればと。
次回はトゥールーズ、ニーム、アルルへ旅を続けます。

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