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駿太のこだわりクッキング① ペペロンチーノ

29 1月 2020

ニンニクの香ばしい匂いがたまらない

今週、パリ交通公団RATPの最大組合Unsaが無期限ストライキ終了を発表しました!!!パチパチ~。パリの交通機関や近郊電車はとりあえず通常運行に戻るようです。
結局政府からは年金制度改革についての譲歩は引き出せず、1か月超のストライキ中無給だった労働者がついに耐え切れなくなり折れた格好。一方でフランス国鉄SNCFの組合は譲歩を引き出すまで終了しないとなお強硬姿勢の様子。いつまでやるんですかねー。
ちなみに国鉄が運行しているはずのRERの一部やTransilienは通常運行ということです。

中国で発生した新型肺炎が現在猛威を振るっていますね。フランスではヨーロッパで初めて感染者が確認され、現在は3人となっているようです。旧正月の春節を迎え日頃に増して中国人旅行者が増える中、ヴェルサイユは日頃から中国人ばかりなので増えているのか減っているのか良く分かりませんがとりあえず彼らはたくさんいます(笑)。演奏会の際以外はなるべく宮殿には行かないようにしようと思っています。
厚生省がマスクの着用を推奨しているので私も先週からマスクを着用し始めました。ところが街中はおろか、宮殿でもマスクをしている人はほぼ中国人(に見えるアジア系の人)だけです。せめて宮殿のスタッフくらいは着用したらどうかと思うのですが、私が見た限りではスタッフは1人しかマスクをしていませんでした。フランスではマスクの着用が一般的ではなく、マスクをして街中を歩くと何かの重篤患者かと思われて変な目で見られるという話を聞いたことがありましたが、実際着用して出かけてみると挨拶がなかったり周囲の人が離れて行ったりと、やはり反応が違いますね。厚生省にはもっと強く着用を勧めてもらいたいものです。パリやヴェルサイユにはあれだけの中国人が来るのですから、中国に渡航歴のない感染者が出るのももう時間の問題かと思います…。
状況が変わりましたらまた随時発信していきます。

さて、今回は「駿太のこだわりクッキング」ということで、第1回目はペペロンチーノを紹介します。
日本での学生時代は小中学校の調理実習くらいで料理はまったくやっていませんでしたが、留学生活をするにあたり自炊する練習をしようということで母から手ほどきを受けて一昨年の4月あたりから少しずつ佐藤家の食卓を担当するようになり、最後の7月あたりには殆どの夕食を私が作るようになっていました。
最初は幼い頃から食べてきた母のレシピに基づく料理を作っていましたが、次第にクックパッドなどを参照しながら新たな料理を作るようになりました。今まで料理は面倒なものだと思っていましたが、やってみるとこれがとても楽しいんですね。選んで買ってきた食材がだんだん自分のイメージに近づいてくる過程、加熱や調味料のさじ加減1つで味が変わってしまう奥深さ。私の師匠たちを始め良い音楽家は大抵料理が上手である理由は、料理が音楽と似ているからなのだなと思いました。
さてそんな中ヴェルサイユに来て数か月経った頃でしょうか、大分フランスで安くて美味しい食材が分かってきたところで私には食べたいパスタがありました。ペペロンチーノです。ちょうど知り合いから譲ってもらった鷹の爪もあって、クックパッドを見ながら早速作ってみました。しかしできたのはイメージとはかけ離れたイマイチな代物。ニンニクの味わいもないし、なんだか水っぽいし、もう全然だめでしたね。そこから数週間というもの、どうにかイメージに近いペペロンチーノができないものかと作り続けました。最盛期には週4回くらい作っていましたね。その頃通っていた語学学校にイタリアンシェフの友人がいたので上手くいかない点を相談したりもしました。彼女曰く「シンプルなだけにはっきり料理の腕が出る難しい料理」だそうです。
あと上手くいかない原因はフランス特有の簡易キッチンにもあり、我が家にはコンロはなく旧式の電熱調理器が大小1つずつあるのみです。当然ながら電熱調理器は火のように急に点けたり消したりできないので、タイミングを誤るともうどうにもなりません。この点もかなり考えて、それでも何とか調理器1つのみで上手く調理する方法を編み出しました。
プロは「ソースの出来上がりをパスタの茹で上がりにぴったり合わせる」そうですが、私は調理器の問題もあり先にソースを作っておいて途中で中断し、その間にパスタを茹でて再度加熱する方法を採っています。
長くなりましたが、以下レシピです。

・材料(1人前)
ニンニク 大きければ1かけ、小さければ2かけ
鷹の爪(乾燥唐辛子)3/4 ※大きさにもよりますが1本だと辛すぎることが多いです
オリーブオイル 大さじ2.5(約40ML)程度
パスタ 120g
粉塩 湯1Lあたり大さじ1
黒胡椒 少量

・作り方
①ニンニクを半分に切って芯を取り、縦に2つ切り込みを入れた後スライスする。
②ポットでパスタを茹でるための湯を沸かし、鍋に塩を入れておく。
③フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れ中火(我が家の電熱調理器では火力6段階で4)にかける。
※ネット上の多くのレシピには「とにかく弱火で!」と書いてあることが多いですが、試した結果中火程度でも良いと思います。ただし⑤のタイミングはシビアになります。
④ニンニクの周りが泡立ってきたら鷹の爪のヘタと種を取り、調理ばさみで輪切りにして入れる。唐辛子が太い場合は縦に切ってから輪切りする。電熱調理器の場合はこの後パスタを茹でるために最大出力へ上げる。
※唐辛子は焦げると苦くなるので注意が必要ですが、あまりに投入が遅いとオイルに辛味が移らないので注意が必要です。

オリーブオイルにニンニク、唐辛子を入れた状態

⑤ニンニクの縁が1つでも茶色くなったら(慣れてきたらその直前を見極めて)引き上げ、湯を注いだ鍋を代わりに強火にかける。
⑥塩が完全に溶け切るように菜箸で混ぜ、パスタを投入する。タイマーは指定分数分セット。
⑦茹で時間が残り2分になったら鍋を引き上げて残り時間は余熱で茹で、代わりにフライパンをやや強火にかける(電熱調理器の場合はここから次第に弱くなっていくよう1段階落とす)。この段階で余熱によりニンニクが少し色づいている程度であれば成功、完全にフライになってしまっているようなら⑤のタイミングを早くする。

乳化が完了した状態、今回の出来は70点というところか

⑧フライパンが熱を帯びてきて、ニンニクが少し泡立ち始めたらオリーブオイルと同量かやや少ない程度のゆで汁を、フライパンをゆすりながら少しずつ入れて乳化させていく。最初にゆで汁を入れたときに油が少し跳ね、ゆすった時にシャーという音がするくらいまでフライパンを熱すると成功しやすい。オイルがゆで汁と良く混じり、白濁すれば成功。ゆで汁がオイルより多いと確実に失敗する。
⑨乳化が完了する頃合で茹で時間を迎えるので、湯切りをしてフライパンに投入する。
⑩火を止め、菜箸で手早く混ぜ合わせさらに乳化を促進させた後、器に盛る。器はやや深さのあるものを選ぶとよい。
⑪黒胡椒を表面にうっすらとかけて完成。かけ過ぎると味が大きく変わってしまうので最後まで気を抜かないように。

味のイメージとしては食べた時に塩、ニンニク、唐辛子、オイルのそれぞれの要素が強く拮抗している状態が理想です。全体的にそれぞれの
主張が弱かったり、ある要素が突出してしまったりしていたら改善の余地ありと言えるでしょう。
あとできれば食べ終わった後、器にあまりオイルが残らない程度にオイルとゆで汁の量を調整できるとなお良いと思います。
特に乳化の工程は難しいので、納得のいくものができるまで何度も作ってみましょう。なおこのレシピではニンニクと唐辛子はそのまま具になっていますが、途中で取り出す方法もありますのでそこの辺りはお好みで。
基本がしっかりとできてしまえば、その後でトッピングを入れたりアレンジを加えても良いと思います。私は目下キャベツ入りのアレンジを研究中です。

ちなみに私は代謝が非常に良くて少し唐辛子を食べると大量に汗をかくので、食べた後はすかさずシャワーを浴びなければならなくなります(笑)。汗をかかないように唐辛子を減らしたこともありましたが、それだとやはりあまり上手くいきません。余談でした。

今回は駿太のこだわりクッキング第1回でした。レシピを文章で書くのは初めてなのですが上手く伝わっているでしょうか。
次回は趣向を変えて、最近社会のあることについて思う独り言を書いてみます。興味があれば読んでみてください。

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