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大規模ストライキとデモ

11 12月 2019

国鉄ストライキでがらんとしたサン=ラザール駅

先週の日曜日は王室礼拝堂でセバスチャン・ドーセ率いるアンサンブル・コレスポンダンスのド・ラランドのグラン・モテを聴きに行きました。王室礼拝堂でのド・ラランドはもうただただ至福の時間!ミゼレーレやディエス・イレといった葬礼のためのモテを中心に構成されていてとても重厚感のあるプログラムでした。
さらに昨日は王室歌劇場でクリストフ・ルセ率いるレ・タラン・リリクのリュリ「イジス」をコンサート上演で観ました。ルセとそのオーケストラは今回生では初めて聴きましたが、優雅さと繊細さが特徴のアンサンブルですね。リュリの音楽の素晴らしさは言うまでもありません。先日の「カドミュスとエルミオーヌ」でも思ったのですが、リュリの悲劇って通して観劇すると5幕の最後にすごくこみあげてくる感動があるんです。舞台装置や衣装があればなおさらなのでしょう。ところで20時に始まり、終わったのが23時半頃だったのですが、観客や出演者、スタッフの皆さんは無事家に帰れたのでしょうか…。

さて今週は、現在パリを震撼させているストライキについてお伝えします。
マクロン大統領が掲げている年金改革政策への抗議で、先週5日からフランス各地でストライキ、デモが盛んに行われています。初日であった5日には警察、消防、病院、教育機関までストライキを行いました。公共性の非常に高いこれらの組織がストライキをするって日本人の感覚からするとかなり異常なことですよね(もちろん緊急時には対応を行ったそうです)。その他電力、運送、航空など参加した会社は挙げればきりがありません。
もちろん常日頃からストライキを頻発しているフランス国鉄SNCF、パリ交通公団RATPもストライキを実施しているのですが、これらが異常なのはこのストライキが「無期限」であること。つまり何らかの譲歩を引き出せない限り終わらないということです。間もなく一週間を迎える今日も実施され続けています。当然市民の通勤事情にも深刻な影響がありますが、私の友人の一人は先週2日間は自宅勤務「テレ・トラヴァイユ」できたと言っていました。
幸いこの一週間の私の活動はヴェルサイユのみでしたのでほとんど影響を受けませんでしたが、パリに住む同僚や演奏会に来るお客様方は大変。車に皆で相乗りしたり、あるいは何時間もかけて歩いたりして対処しているようです。5日には王室礼拝堂で木曜演奏会があり、ヴェルサイユ宮殿も閉鎖される中誰も聴きに来ないのではと心配していましたが、通常の7割くらいのお客様が来てくれました。殆どヴェルサイユ市民なのかもしれませんね。ありがたいことです。
ヴェルサイユの街は至って平和、一番アクセスのよいRERC線が全面運休のためか日頃宮殿へ押し寄せる観光客も減っているようで何だか静かです。それでもヴェルサイユ・リーヴ・ドロワト駅を発着するL線は本数は減っているものの日中も列車があり、ヴェルサイユ・シャンティエ駅を通るN線は朝と夕方、夜のみですが運行しているので、ヴェルサイユ観光を考えている皆様はどうか諦めずに、これら2線のスケジュールを確認の上いらっしゃってくださいね。またパリのポン・ド・セーヴルとヴェルサイユを結ぶ171番のバスも本数は少ないものの運行しています。なおヴェルサイユ周辺のバスについてはフェービュスというパリ交通公団とは別の会社が運行しており、こちらはストライキを行っておらず日頃と変わりなく運行しています。パリのticket+やナヴィゴで乗車できるので、宮殿から遠くの駅に着いてしまってもすぐにアクセスできますよ。
と、このままでは「ヴェルサイユは平和です」という記事で終わってしまうので、昨日パリへ用事を済ませに行ってきました。
本数が比較的多い朝に出発、最初の目的地はエトワール凱旋門近くにある日本大使館。ヴェルサイユ・リーヴ・ドロワト駅からL線でまずはデファンスを目指します。普段このラッシュ時間帯にこの線に乗車することはないので通常と比べてどうかは何とも分かりかねるのですが、2駅くらい進むと車内は日本の通勤電車よろしく超満員。その後の駅では列車に乗車できずホームに溢れた人たちが各駅で見られました。おそらく本数削減になっていることと無関係ではないでしょう。メトロやバスでもそうなのですが、フランス人はどうもドア付近に溜まりあまり車内奥に進もうとせず、また自分たちが鮨詰めになることを非常に嫌がります。天下に名高い混雑路線、東急田園都市線沿線民であった私としては「あと5人は乗れるのにな…」とか思ってしまいますが、積極的に次の電車を待つフランスの方が良いのかもしれません。
そんなこんなで、混雑はあったもののおおむね時間通りにデファンスに到着、ここからRERのA線でエトワールまで乗ります。ホームに既に列車がいたので何の苦も無く乗車することができましたが、こちらも本数削減が行われ日中は運休。
大使館の開館と同時に手続きを済ませ、A線で次の目的地オペラ周辺へ。朝の最後の列車を何とか捕まえることができました。駅にあるバス案内の電光掲示板は軒並み「保証なし」、つまりいつ来るか分からないということです。シャルル・ド・ゴール空港へアクセスするロワシー・バスも同様で、乗降場にも行ってみましたが明確な案内はありませんでした。でも道路上には結構バスを見かけましたので、各線とも一応走ってはいるようです。
オペラ周辺で用事を済ませてヴェルサイユに帰るにあたり、14番線のメトロでサン=ラザール駅を目指します。メトロは全面閉鎖される路線も多い中、1番線と14番線は自動運転のためストライキの影響を受けず通常運行しています。この2つをうまく利用することがストライキ中のパリ移動でカギになると思いますね。
あとはサン=ラザール駅からあらかじめ予定されていたL線の列車でヴェルサイユへ帰ることができました。いつもひっきりなしに列車が往来する大ターミナル駅も写真の通り。長距離列車もかなり運休になっているようです。

こうしたストライキと並行して、5日、7日、昨日10日とパリで大規模なデモが行われ、商店が閉鎖したり警官隊が大規模に展開するなどしています。危ないかもしれないので、パリに来た際にデモが行われていたらなるべく近づかないようにするのがおすすめです。
以上のような現況ですので、近日パリを訪れる方はフランス国鉄、パリ交通公団の公式サイト(英語あり)で発表される最新情報をよくご確認の上、最大限観光を楽しんでくださいね。
次回はモンパルナスのタワーとガレット店街についてご紹介します。


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