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スイス鉄道乗りまくりツアー①

19 8月 2020

ユングフラウ鉄道の起点、クライネ・シャイデック駅

ただいまイタリアにて偉大な芸術のフォアグラ状態になっている佐藤でございます。
引き続き旅行記で恐縮ですが、今回は先週のスイスでの活動報告を簡単にさせていただきます。題名の通り、今回はかなり鉄道要素高めです。

まずはパリ・リヨン駅からTGVでスイスのローザンヌへ。乗り換え時間にスイスフランを用意し、ヴヴェイという駅まで再び国鉄に乗ります。
途中、右側にはレマン湖、左側には葡萄畑の車窓。ローザンヌ周辺はワインの産地なんですね。
ヴヴェイからモントルー・ヴヴェイ・リヴィエラ交通(MVR)という線路幅1mの小さな電車に乗り換え、最初の目的であるブロネー=シャンビー博物館鉄道へ。

様々な車両を収蔵する博物館

1966年に廃線になった全長3㎞ほどの区間を利用して、ボランティアの手により夏期の休日のみ運行される保存鉄道です。博物館入場と1日乗車のセット券をボランティア駅員のおじさんから購入。ブロネー駅から最初に乗ったのはオープン客車を1両連結した赤い電車。3等まであったスイスの座席設定ですが、この鉄道はどこに座ってもよさそうなので少し座席幅が広く快適な2等座席に座ってみました。車体を軋ませながらゆっくりと上り坂を登って行き、眼下にレマン湖が見えたところで左手に博物館兼車庫が見えてきます。終点はここですが、まずはその先のシャンビー駅に行って折り返すダイヤになっています。博物館兼車庫に着くと、1mゲージの蒸気、電気、ディーゼルなど多様な古い車両が前後の車庫にひしめき合うように収められていて、もう何時間でもいられそうです。保存状態が非常に良いのは勿論のこと、これら大半が現在でも営業できるそう。フランスの鉄道博物館と違って、基本的にどの車両も中に入れます。半分程度見たところで蒸気機関車の運転時刻になりました。小さいながら健気にも走り装置が2組あるドイツの機関車で往復乗車。機関士と機関助士もおそらくボランティアで、楽しそうに運転していましたね。博物館に戻った後は残りの車両を見て、駅舎併設のカフェで休憩した後ブロネーへ戻りました。途中で茶色い電気機関車や水色の電車が動いていたのでそれに乗れるのかと思いましたが、乗れたのは結局来た時と同じ赤い電車でした。
ローザンヌに戻り、軽く街を観光。ローザンヌ大聖堂は17:30で閉まってしまい入れなかったので外観だけ。丘の上にあるので、大聖堂の手前からローザンヌの旧市街を見ることができました。あとはレマン湖畔を歩きつつオリンピック博物館も外観だけ見ようと行きました。建物に向かって上がっていく階段には大会開催年と都市が刻まれていて、最後は2018年の平昌。2020と東京は果たしてこの次に刻まれるのでしょうか…。

大聖堂の塔から見たベルン旧市街

2日目、この日は鉄道要素なしで首都ベルンを観光。至る所に水飲み場があり、長いアーケードが続く古い街並みが残る街です。連邦院の建物を横目に見つつ、まずはベルン大聖堂へ。天井のリブが格子状になっていて、それに沿って模様が描かれています。個人的に興味深かったのは信徒用の長椅子。背もたれと座面が共通設計になっていて、前後に転換できるんです。教会版転換クロスシートでしょうか?(鉄分なしと言ったのに…。)フランスでは見たことない長椅子ですね。これならオルガンを聴く際などに身体を捻じって振り返る必要がありません。塔にも登ってみました。ここからは赤茶色の小さな六角形の瓦葺きで統一されたベルンの旧市街が一望できます。あの大量の瓦を造るのって業者の入札とかあるんだろうか、なんて考えてしまいました。
アーレ川を渡った先にクマ公園があるのですが、残念ながらクマの姿は見えず。街を創設したツェーリンゲン大公が猟で仕留めた最初の動物がクマだったので、それが街の名前や旗、シンボルになっています。ところでアーレ川では結構泳いでいる人がいたのですが、見たところとても流れが速く危険そう…。橋脚に激突したりしないのでしょうか?川は街を半周するように流れているので、うまくすれば流れるプールのようにして楽しめるのかもしれません。
旧市街に戻ってアインシュタインの家に行きました。彼が3年間住んでいた家で、調度品や資料が展示されています。受付の人が何故か日本人の方でした。2階には彼の経歴や功績の説明があり、音楽活動の説明もありました。
そろそろ正時になる頃、近くにある有名な時計塔へ。アインシュタインはこの時計の針から特殊相対性理論の着想を得たようですが、凡人の私には皆目分かりません。正時になるとからくり人形が作動しますが、うーん、期待が大きすぎたのかちょっとしょぼかったかも?自動オルガンくらい鳴るのかと思いました。周りにいた人たちもこれで終わりかと、しばらく待っていましたがやがて離散しました。古くて貴重なので良いんですけどね。
その後は宿泊地インターラーケンへ移動、この日は終了です。

スフィンクス展望台から見下ろすアレッチ氷河

西のトゥーン湖と東のブリエンツ湖に挟まれた名前の通りの小さな町、インターラーケン。周囲を山々と湖で囲まれ、登山やスキー、パラグライダーやカヌーといった自然アドベンチャーを求めやってくる客で賑わっています。私もその一人、目的はそう、ずばりユングフラウ鉄道です。
ユングフラウ鉄道というのは正確には一部区間の鉄道なのですが、その手前の2つの鉄道もユングフラウ鉄道の傘下にあり、これらをまとめてユングフラウ鉄道と呼ぶことが多いようです。山頂のユングフラウヨッホ駅まで厳しい自然の中を走る登山鉄道だけあって運賃が高く、最短で往復しても117.4フランかかります。日本円だと大体13000円くらい。その他の別の支線やロープーウェイに乗るにはさらに運賃が必要で、公式サイトにはいろいろな乗車パスの設定があるのですが、これがたくさんありすぎてとにかく分かりづらい…。結局その都度切符を購入しましたが、時期によってはこれより少し安くなるプランがあるのかも?しれません。
インターラーケン・オスト駅からまずはベルナーオーバーラント鉄道の区間。近年車両が新しくなったようで近代的な広く快適な車両になっています。途中で左手に古めかしい機関車や客車を持つシーニゲ・プラッテ鉄道が見えてきますが、これは後で乗ります。しばらくすると小川に沿って峡谷の中へ入っていき、徐々に高度を上げていきます。2番手はヴェンゲルンアルプ鉄道。線路の間に歯車レールを持ち、ここで一気に高度を稼ぎます。標高3000m級の山々と氷河が間近に迫ってきました。ラストはユングフラウ鉄道。最初の駅を過ぎるとずっとトンネルになってしまい車窓はあまり楽しめないのですが、途中のアイスメーア駅では少し停車するので、大半の人は一度下りて展望台から景色を眺めます。最急勾配は250パーミル、日本にあるケーブルカーを除いた鉄道の最急勾配は大井川鐵道井川線の90パーミルですから、これはその約2.8倍あるわけです(ところがこの旅行では後にとてつもない勾配の鉄道に乗ることになります…次回)。長い勾配を上った先の終点はユングフラウヨッホ駅。標高3454mにある、ヨーロッパで最も高いところにある鉄道駅です。駅は山中にあり、黒部峡谷鉄道を思い起こさせました。少し歩いたところにスフィンクスと名付けられた標高3571mの展望台があり、そこから目の前に延々と続くアレッチ氷河やユングフラウを始めとした山々、遥か下遠くに先ほど乗り換えた駅を見ることができます。この日の天気予報は午前中何とか少しだけ天気が良く、その後一時雷雨とあまり良くないものでしたが、行って見れば何のその、快晴でした。急いで午前中の内に来た甲斐がありました。服装は長袖とウィンドブレーカーというやや軽装で行ってしまいましたが、風が吹かなければ日が当たってあまり寒くありません。絶景が見られるかどうかは天気によって大きく左右されるようで、公式サイトではライヴ映像も配信されていて最新の天気を確認することができます。展望台の他は尾根に沿って歩く道が2つ、あとは氷河の中にある氷の彫刻の展示コーナーや、通路に鉄道の建設工事の展示などがありました。氷の彫刻コーナーはさすがに寒かったですね。
ところでユングフラウ鉄道には短い右ルートと長い左ルートがあり、行きは所要時間が短い右ルートで行ったので帰りは左ルートを試してみることに。ですが距離が長いだけあって勾配がきつくなく途中から普通の鉄道のようになってしまうので、特段用事がなければ短い右ルートの往復で良さそうです。下りてくる途中でユングフラウの山頂付近はだんだん雲に覆われ始めました。早く行って本当に良かったー。

機関車と客車が可愛らしいシーニゲ・プラッテ鉄道

ヴィルダースヴィル駅まで帰ってきたところで、今度は先ほど見たシーニゲ・プラッテ鉄道に乗車。登山鉄道で降りてきたばかりなのにまた別の山に登山鉄道で登るという…。こちらの方が歴史が古く、車両も古いので鉄道ファンとしては楽しいです。麓側に小さな電気機関車が一両、その前に基本2両の赤とベージュの客車が繋がれ、先ほどのユングフラウ鉄道と同じ250パーミルを懸命に登って行きます。トンネルはそう多くないので、山間を抜ける少しのスリルと景色を楽しめるのが魅力ですね。終点のシーニゲ・プラッテ駅には高山植物園があり、麓まで下りる束の間、目を楽しませてくれます。エーデルワイスもあるらしいのですが残念ながら見つけられませんでした…。お昼にはアルペンホルンの演奏もあるようです。天気の都合がなければこちらにまず来ればよかったですね。

1回で終わらせるつもりでしたが、意外に長くなってしまったので2回に分割したいと思います。次回はブリエンツ、ルツェルン、フルカ峠に行きます。

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