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パリ版パスモ、ナヴィゴ

6 2月 2019
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今や日本と同じく、パリにもナヴィゴ専用改札が増えています

先週降った雪も、その後の大雨ですっかり溶けてしまいました。
先週末は昨年末に演奏した古楽器のための現代作品がブローニュの地方音楽院で再演されました。初回よりも良かったのですが、順番が最後でとにかく待ち時間が長かった…。古楽器による現代音楽ばかりを集めた演奏会で、リコーダー合奏、リュート合奏などもありました。その中でひときわ目立っていたのはセルパン奏者のPatrick Wibart氏の演奏!セルパンによる現代曲も演奏していましたが、そのあとにオルティスのスパーニャの変奏を華麗に披露していました。いや素晴らしかった!セルパンって極めるとここまで来るのかと思いましたね。
今週からは明日の王室礼拝堂の木曜演奏会に向けたリハーサルが始まりました。メンバーは学生と一部卒業生、コンサートマスターは師匠パトリックです。協奏曲では彼がいるのはとても心強いですが、2日間2時間ずつのリハーサルでどれだけ仕上げられたことやら…。今日もやるのかと思っていたらお休みです。むむ、少し不安が残る。

さて、今回はパリ周辺地域の交通機関で使用できるIC乗車券ナヴィゴNavigoについて書いてみたいと思います。
日本にもパスモ、スイカなどといったIC乗車券が存在しますが、日本の場合は目的地で下車した際にそれに応じた運賃が引かれるか、予め購入した定期券の範囲内であれば自由に乗り降りできますよね。パリのナヴィゴは定期券に相当し、パリの中心部から順に価格の違うゾーン1-5の購入した範囲内の駅や停留所ならばどこでも乗り降りが自由にできるというものです。
なおナヴィゴについては詳細な説明をしたホームページがインターネットで検索するとたくさん出てきますので、詳細な説明はこちらでは省略します。年々詳細は変わっていくので、なるべく最近の情報を入手するのがおすすめです。
ちなみに今年度から学生定期イマジン・エールの申し込みは書類ではなくインターネット申し込みになって便利かつ迅速になりました。書類を窓口でもらってきて書いて送るというのはもう過去の情報なのでご注意を。
旅行者の場合は窓口で簡単に購入できるナヴィゴ・デクーヴェルトNavigo Découverteと呼ばれる物がありますので手軽に購入できます。25mm×30mmの顔写真1枚が必要になりますので用意しておくととてもスムーズです。貼り付けはカードの方に糊がついているので糊を持参する必要はありません。
なおこれを機会に規定を読んで確認してみましたが、ナヴィゴ・デクーヴェルトの場合はどのような理由があっても返金や再発行はしてもらえませんので、納得のいくプランを選択して盗難や紛失には十分気を付けましょう。居住者用のナヴィゴは途中のプラン変更や再発行ができるようなので、長い期間使用する場合は可能であれば居住者用ナヴィゴを購入するのが良いと思います。
続いて料金比較の話をしたいと思います。やはり旅行する以上は精一杯滞在を満喫しながらもできるだけ安く済ませたいものですよね。
まずどの交通手段でパリに到着するかという問題がありますが、シャルル・ド・ゴール空港に到着する場合はゾーン5になりますので、基本的にはナヴィゴを買った方が得だと思います。なお日程を調整できる場合は週をまたがないようにすると、1週間のナヴィゴを最大限に活用できます。
ほかの都市から列車でパリ中心部に到着し、郊外に行かないのであれば、Ticket t+のカルネと呼ばれる10枚つづりのものが有利なこともあるかもしれません。日本でもよくある回数券で、1.9€の切符が10枚で14,90€です。少し郊外に行く場合も路線バスならTicket t+が使えます(例えばヴェルサイユに行くには171番のバスがあります)。
その他にも1日有効のナヴィゴ・ジュールやモビリスなどもありますが、1日単位で考えるとこれらは少し割高に思います。美術館や有名な建築物などじっくりと観光すれば1日でそう何箇所も回れるわけではないので、1日や2日の中心部だけの滞在ならおそらくTicket t+のカルネの方が有利です。それに、実際パリ市内は歩こうと思えば歩けてしまいますし、歩くのもまた楽しいものです。
こういった料金比較をしながら計画をするのもまた旅行の醍醐味といえるでしょう。ちなみに使用しなかったTicket t+など有効期限の書かれていない切符はとっておけば次の機会で使えますし、ナヴィゴは最後に使用してから10年間有効ですので(面白いことに日本のパスモと同じ)、一度買ってしまえば次からはチャージするだけです。
続いてヴァリデの話。
ナヴィゴを紫色の円が特徴のカードリーダー?にタッチする行為を「ヴァリデ」と言いまして、バスやトラム、自動改札機のない駅を利用する場合はこれを自主的に行わねばなりません。規定通り購入していてヴァリデを忘れた場合は罰則がどうなるのか調べたことがありませんが、必ずヴァリデしておきましょう。(仮に自動改札機のない駅でヴァリデをせずに乗車してしまっても、自動改札機のある駅で下車することは一応できます)
ちなみにヴァリデは一度行うと同じ駅では2度ヴァリデができず、「既にヴァリデされているDéja validé」と表示され改札機は開きません。自動改札機が出口にもある国鉄やRERでは出場すればもう一度ヴァリデできますが、メトロには出口に改札機がないので入場した後に「いかん、用事を忘れてた!」などと思い出して出てしまうとそのままでは再入場できないのです。これは改札にいる係員に事情を説明すればいいことですが、いつも係員がいるとは限らないので…笑。
本当に困るのが、運悪く調子の悪い改札機に出くわしてしまったとき。ヴァリデしても扉が開かないことがあり、私も2度ほど経験しました。1度目は電動の扉でない駅で、後ろに来ていた人が親切でヴァリデしてくれて開いたので、一緒に通ることができました。2度目は電動の扉の駅で、さすがに他の人を巻き添えにするわけにはいかないのでどうしようかと思っていたら、国鉄の検札係が通りかかったので助けてもらいました。
あなたもこのような機会に遭遇してしまったら必ず助けを呼んで、改札機を乗り越えるなどはしないようにしましょう。無賃乗車だと思われたらなかなか弁解できないものです。
少しトラブルはあるかもしれませんが、それでも切符よりは少ないと思います。切符だと券詰まりしてしまったり、正しい乗車区間のはずなのになぜか改札が開かなかったりするトラブルを多く聞きます。

今回はナヴィゴについてでした。あなたもパリに来たら是非楽しいナヴィゴライフを体験してみてくださいね。
来週は明日の木曜演奏会について書きたいと思います。

RERって何?

20 12月 2018
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シャルル・ド・ゴール空港に着いてまず乗車するB線

ここ一週間は少し晴れ間が多くなったヴェルサイユです。
先週末は王室歌劇場で「バロックカーニヴァル」と題された演目を見てきました。演奏はリュリの歴史的舞台上演でおなじみのポエム・アルモニークでしたが、この日は小編成のバンドが舞台に乗る形式で、その横で様々な歌やサーカスを楽しめる構成でした。大道芸もすごかったけれど、やはり演奏が一級品。チャッコーナやパッサカーユなどの変奏曲を延々と続けながら様々な変奏がなされていく、インプロヴィゼーションの宝庫でした。帰ってからもしばらくチャッコーナのバスラインが頭から離れませんでした笑。
今週は今日行われる現代音楽の演奏会のため、ヴェルサイユ市庁舎でリハーサルが行われました。使用した部屋は一番大きなところで、まるで18世紀にタイムスリップしたかのような豪華な部屋。始まる前に少し時間があったので持ち曲を練習してみましたが、とてもよく響きました。

さて、今回はパリの鉄道路線RERについてです。
「RERとは何か」を一言で表すのは難しいです。直訳すると「イル・ド・フランス地域圏急行鉄道網」で、日本で例えて言うならば私鉄・JR線と東京メトロ線が直通運転されている路線を総称しているようなものです(ただしRERはパリのいわゆるメトロとは直通していません)。東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線・東武スカイツリーラインや、小田急線・東京メトロ千代田線・JR常磐線などのようなイメージです。でもパリの鉄道運営会社は日本と違いフランス国鉄SNCFとパリ交通公団RATPのみで、両社が別々の料金体系を持っているわけではないので会社の違いは特に気にする必要はありません。
かつてパリの鉄道は周縁部のターミナル駅からそれぞれ郊外路線が発達したので、パリの中心部に行くにはそれぞれのターミナル駅でメトロやバスに乗り換えるしかありませんでした。それらの路線の一部をパリ市内に新たに作った地下線で直通させたのがRERなのです。
現在、パリのRERはAからEまで5路線あります。主な観光地なども併記しておきます。

・A線(赤) ヴァンセンヌの森と城、パリ・ディズニーランド、サン=ジェルマン・アン・レー城
私はあまり乗ることはないのですが、先日ウィゴがパリ・ディズニーランド駅着だったので乗車しました。
・B線(青) シャルル・ド・ゴール空港、オルリー空港(アントニーから専用メトロに乗り換え)、ラ・マドレーヌ城、ブルテゥイユ城
パリに飛行機で到着するとまず利用する路線です。空港アクセス線としての性格が強く、パリ北駅からシャルル・ド・ゴール空港まで無停車の快速列車も設定されています。
・C線(黄色) ヴェルサイユ
ヴェルサイユ宮殿観光に欠かせない路線です。路線はヴェルサイユを起点にパリ南部を一周する形になっており、ヴェルサイユ発ヴェルサイユ行きのロングラン列車もあります。また支線も多く5つのRERの中で最も運行形態が複雑なので、利用する際は必ず行き先と方面を確認しましょう。ヴェルサイユ宮殿に行く場合は「宮殿Château」の案内が大きく書かれているので方面は分かりやすいと思います。
・D線(緑) フォンテーヌブロー宮殿方面(宮殿観光にはトランシリアンR線を利用)
パリ北部と南東部を結んでおり、南東部は支線が多く複雑です。観光地はこれといってないのであまり利用する機会はないと思います。
・E線 (紫) ヴォー=ル=ヴィコント城方面( 城観光にはトランシリアンP線を利用)
サン=ラザール駅から東部に向かって伸びており、東駅からは専らP線の各駅停車の役割を担っています。D線同様あまり利用する機会はないと思います。

以上がRERの5路線です。いずれパリ市内は停車駅が少なく、メトロよりも早く移動できるのが特徴です。こうしたメトロの補完、速達の要素を担うことから、パリ市内の路線はバカンス中の工事やデモなどの異常時に運休することがしばしばあるのが難点ではあります。
ちなみにパリには前述のP線やR線のように他にもアルファベットが使われている路線がありますが、それはフランス国鉄のパリ近郊旅客列車トランシリアンで、RERではありません。ただ利用する際には厳密に区別して認識する必要はないと思います。
さて、乗車する際の切符についてですが、パリとその近郊はゾーンと呼ばれる料金の区域設定があり、RER各線はほぼZONE1-5の中に収まっています。メトロやバスなどで使えるticket+はZONE1のRER各駅では使えますが、それより先は個別に区間を指定して切符を買うか、ZONEに合った切符ないしナヴィゴを使わなければいけません。メトロの場合はZONE1外の駅でも均一料金ですが、RERはそうではないので注意が必要です。
ちなみに日本のように乗り越し精算はできず、RERはメトロと違い下車する際も切符を改札機に通さなければいけないので、区間に合致する切符を持たず乗車してしまうと下車できずに困った挙句、無賃乗車の罰金を取られます。
こうした煩わしい事から解放されるには、やはりナヴィゴを買ってしまうのが良いと思います。シャルル・ド・ゴール空港駅は郊外に位置しているので個別に切符を買うと割高ですし、一旦ナヴィゴを購入できてしまえば後は気にすることなく乗り放題で観光できます。
私は去年初めて訪れた際は切符を買っていましたが、今ではもうナヴィゴに頼りきりなので、切符の買い方や料金体系は忘れつつあります…。

さて、今回はRERについてでした。書いていて思ったのですが、メトロやバス、切符やナヴィゴについても書かなければいけませんね。インターネットで検索すれば日本語で読めるホームページはたくさんありますが、こちらでも鉄道マニア独自の視点でいずれ書きたいと思います。
次回は今週末にフランス東部とバーゼルに行くのでそのレポートを書きたいと思います。お楽しみに。