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RERって何?

20 12月 2018
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シャルル・ド・ゴール空港に着いてまず乗車するB線

ここ一週間は少し晴れ間が多くなったヴェルサイユです。
先週末は王室歌劇場で「バロックカーニヴァル」と題された演目を見てきました。演奏はリュリの歴史的舞台上演でおなじみのポエム・アルモニークでしたが、この日は小編成のバンドが舞台に乗る形式で、その横で様々な歌やサーカスを楽しめる構成でした。大道芸もすごかったけれど、やはり演奏が一級品。チャッコーナやパッサカーユなどの変奏曲を延々と続けながら様々な変奏がなされていく、インプロヴィゼーションの宝庫でした。帰ってからもしばらくチャッコーナのバスラインが頭から離れませんでした笑。
今週は今日行われる現代音楽の演奏会のため、ヴェルサイユ市庁舎でリハーサルが行われました。使用した部屋は一番大きなところで、まるで18世紀にタイムスリップしたかのような豪華な部屋。始まる前に少し時間があったので持ち曲を練習してみましたが、とてもよく響きました。

さて、今回はパリの鉄道路線RERについてです。
「RERとは何か」を一言で表すのは難しいです。直訳すると「イル・ド・フランス地域圏急行鉄道網」で、日本で例えて言うならば私鉄・JR線と東京メトロ線が直通運転されている路線を総称しているようなものです(ただしRERはパリのいわゆるメトロとは直通していません)。東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線・東武スカイツリーラインや、小田急線・東京メトロ千代田線・JR常磐線などのようなイメージです。でもパリの鉄道運営会社は日本と違いフランス国鉄SNCFとパリ交通公団RATPのみで、両社が別々の料金体系を持っているわけではないので会社の違いは特に気にする必要はありません。
かつてパリの鉄道は周縁部のターミナル駅からそれぞれ郊外路線が発達したので、パリの中心部に行くにはそれぞれのターミナル駅でメトロやバスに乗り換えるしかありませんでした。それらの路線の一部をパリ市内に新たに作った地下線で直通させたのがRERなのです。
現在、パリのRERはAからEまで5路線あります。主な観光地なども併記しておきます。

・A線(赤) ヴァンセンヌの森と城、パリ・ディズニーランド、サン=ジェルマン・アン・レー城
私はあまり乗ることはないのですが、先日ウィゴがパリ・ディズニーランド駅着だったので乗車しました。
・B線(青) シャルル・ド・ゴール空港、オルリー空港(アントニーから専用メトロに乗り換え)、ラ・マドレーヌ城、ブルテゥイユ城
パリに飛行機で到着するとまず利用する路線です。空港アクセス線としての性格が強く、パリ北駅からシャルル・ド・ゴール空港まで無停車の快速列車も設定されています。
・C線(黄色) ヴェルサイユ
ヴェルサイユ宮殿観光に欠かせない路線です。路線はヴェルサイユを起点にパリ南部を一周する形になっており、ヴェルサイユ発ヴェルサイユ行きのロングラン列車もあります。また支線も多く5つのRERの中で最も運行形態が複雑なので、利用する際は必ず行き先と方面を確認しましょう。ヴェルサイユ宮殿に行く場合は「宮殿Château」の案内が大きく書かれているので方面は分かりやすいと思います。
・D線(緑) フォンテーヌブロー宮殿方面(宮殿観光にはトランシリアンR線を利用)
パリ北部と南東部を結んでおり、南東部は支線が多く複雑です。観光地はこれといってないのであまり利用する機会はないと思います。
・E線 (紫) ヴォー=ル=ヴィコント城方面( 城観光にはトランシリアンP線を利用)
サン=ラザール駅から東部に向かって伸びており、東駅からは専らP線の各駅停車の役割を担っています。D線同様あまり利用する機会はないと思います。

以上がRERの5路線です。いずれパリ市内は停車駅が少なく、メトロよりも早く移動できるのが特徴です。こうしたメトロの補完、速達の要素を担うことから、パリ市内の路線はバカンス中の工事やデモなどの異常時に運休することがしばしばあるのが難点ではあります。
ちなみにパリには前述のP線やR線のように他にもアルファベットが使われている路線がありますが、それはフランス国鉄のパリ近郊旅客列車トランシリアンで、RERではありません。ただ利用する際には厳密に区別して認識する必要はないと思います。
さて、乗車する際の切符についてですが、パリとその近郊はゾーンと呼ばれる料金の区域設定があり、RER各線はほぼZONE1-5の中に収まっています。メトロやバスなどで使えるticket+はZONE1のRER各駅では使えますが、それより先は個別に区間を指定して切符を買うか、ZONEに合った切符ないしナヴィゴを使わなければいけません。メトロの場合はZONE1外の駅でも均一料金ですが、RERはそうではないので注意が必要です。
ちなみに日本のように乗り越し精算はできず、RERはメトロと違い下車する際も切符を改札機に通さなければいけないので、区間に合致する切符を持たず乗車してしまうと下車できずに困った挙句、無賃乗車の罰金を取られます。
こうした煩わしい事から解放されるには、やはりナヴィゴを買ってしまうのが良いと思います。シャルル・ド・ゴール空港駅は郊外に位置しているので個別に切符を買うと割高ですし、一旦ナヴィゴを購入できてしまえば後は気にすることなく乗り放題で観光できます。
私は去年初めて訪れた際は切符を買っていましたが、今ではもうナヴィゴに頼りきりなので、切符の買い方や料金体系は忘れつつあります…。

さて、今回はRERについてでした。書いていて思ったのですが、メトロやバス、切符やナヴィゴについても書かなければいけませんね。インターネットで検索すれば日本語で読めるホームページはたくさんありますが、こちらでも鉄道マニア独自の視点でいずれ書きたいと思います。
次回は今週末にフランス東部とバーゼルに行くのでそのレポートを書きたいと思います。お楽しみに。