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イヤーな「カビ」の話

5 12月 2018
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取り寄せたカビとり剤

相変わらず雨ばかりのヴェルサイユ。地面が乾いている日の方が少ないほどです。ここ数日は少し暖かいので霧はあまり出ませんが、何となくすっきりしない空模様がずっと続く様は、18世紀と変わらないのでしょうか。
前回も少し書きましたが、ヴェルサイユは元来湿地帯で、宮殿の造営が行われる前は一面泥だらけで草の悪臭が漂う土地でした。それを全て干拓し、あの壮麗な宮殿と庭園を造ったのです。ただ土地は変わっても、それを取り巻く気候はあまり変わってないのでしょう。

先週末には10月からリハーサルが行われていた「クープランを讃えるラヴェル」の演奏会がヴェルサイユにほど近いヴィロフレーの小さなホールで行われました。図書館に併設されているホールで、残響はあまりないので古楽には少し厳しい現場ではありましたが、とても楽しめた本番でした。ラヴェルのいわゆる『クープランの墓』の楽章間にクープランの『王宮のコンセール』と『リュリ賛』を演奏するという趣向で、モダン科との交流も持つことができました。ちなみに『リュリ賛』ではフランス人を差し置いてリュリ役をさせていただきました笑。
日曜日にはヴェルサイユ宮殿内にある王室歌劇場でシャルパンティエの《アクテオン》とラモーの《ピグマリオン》を観に行きました。演奏はターフェルムジーク・バロックオーケストラ。比較的小編成ながらしっかりとした低音に支えられた響きは聴いていてとても安心感があり、舞台演出も見事でとても楽しかったです。
昨日は王室礼拝堂でジョルディ・サヴァール率いるアンサンブルの、クープランの「諸国の人々」全曲演奏会がありました。各人名演奏をしていましたが、一番安い後方の席だったので如何せん遠くて細部がよく聞こえない…。おそらく王室礼拝堂は身廊と側廊の2階部分の間を遮るものが円柱しかないため、音が散りやすいのだと思います。しかもクープランのような室内楽にはそもそもあの巨大な空間はあまり適しているとは言えない。今度からは高くても前方の席を買おうと思いました。

さて、今回はそんな充実した毎日に密かに我が家へ棲み着いていた、イヤーなカビの話です。
11月に入り、何だか洗濯物が中々乾かなくなったなと思っていた頃、彼らは少しずつ仲間を増やして、遂に目に見えて居間の壁に進出してきました。元々シャワールームのカビには悩まされていたのでカビ取り剤を探していたのですが、MONOPRIXの店頭をいくら探してもない。仕方なくアルコールスプレーで様子を見ようと一度拭いたのですが、一週間経つとまた生え始めました。どうやら壁と密着しているクローゼットの裏側の奴らを退治しないといけないようです。
MONOPRIXのインターネットサイトから購入できる薬剤を店頭取り寄せにして待つこと2日。ヴェルサイユ店へ受け取りついでに買い物に行ったら、数日前までなかったコーナーに取り寄せたのと同じカビ取り剤が売られているではありませんか。もう少し早く出してくれ!取り寄せ料の2€を完全に損しました。まあ仕方ないですね。ちなみに私が取り寄せたからついでに売り始めたわけでは…ないと思います笑。
取り寄せたものとは別のブランドも売られていたので、比較のために購入。「おのれ奴らめ、一斉摘発してやる」と息まいて帰宅し、早速退治スタートです。しかしこれは長い戦いの始まりでした…。
薬剤を撒く前にまず一体となって固定されているクローゼットと棚のネジを外して解体し、手前に引き出す。すると悪の巣窟が姿を現しました。緑色のカビが蔓延り、彼らが吐き出す湿気で壁が濡れています。クローゼットの裏側の板は薄い合板なので濡れて湾曲していました。奴らを白日の下に晒したところでまずはアルコール除菌シートで拭き取ります。マスクをしていましたが、何とも言えない凄まじいカビの臭いが辺りに充満しました。ちなみにカビはクローゼットの裏板を通り越して中にも進出し始めていたので、あと数日遅ければ洋服にカビが移るところでした。危ない危ない。
拭き取りで大方のカビは無くなりましたが、根元から抹殺するためいよいよ薬剤を投入します。まずは写真左のブランドから。さらさらとした液体で、吹き付けるとすぐに流れ落ちてしまいます。キッチンペーパーを当てて様子を見ることにしました。一方、離れた壁面で右のブランドも試すと、こちらは少し泡状になって出てくるので少し滞留時間が長いです。これをビニール手袋をした手で伸ばしていくと作業が早く進みそうだったので、こちらのブランドを主力に採用することにしました。ちなみに両者とも、カビの取れ具合に差は感じられませんでした。
壁面一体を薬剤で覆いつくすと、今度は塩素の臭いが部屋に充満します。そういう薬剤なので当たり前なのですが、扇風機を最大出力で稼働させてもなかなか窓から空気が出て行ってくれません。しかもこの日も雨が降っていたのであまり窓を全開にするわけにもいかず…。次第に頭痛に襲われながらも、なんとか居間のすべての箇所に薬剤を撒き終わりました。本来は水で洗い流さないといけないのですが、居間なので地道に濡れ雑巾で拭き取ることに。バケツでこまめに雑巾を洗いながら作業を進めていくと、水がペンキの白色になってきてしまいました。やれ、薬剤がペンキを溶かしたか。あまり拭きすぎると何が起こるかわからないので、3周でやめておきました。
作業開始から4時間あまり、部屋の中は棚とクローゼットから出した物で散乱し座ることもできないまま、何とか終了。奴らの残骸は完全に無くなり、「兵どもが夢のあと」となりました。クローゼットと棚は少し壁から離して再設置。棚の板は壁にぴったりの寸法で切り出されていたので、解体と再設置には苦労しました。
とりあえず夕飯を食べに外に出ようとヴェルサイユ・リーヴゴーシュ駅前のマクドに行って、帰ってきてみたら塩素の臭いが全然抜けていない。頭痛と鼻炎が割と酷くなってきたので、気分転換を兼ね夜のヴェルサイユをあちらこちらと散歩。何だかんだで午前1時になってしまいました笑。
今では居間のカビはすっかり退治できたようですが、戦いはまだ終わっていません。シャワールームとトイレ周辺の配管近くにまだ大勢います。明日にでもやらねば…。しかも奥の方は手が届かなさそうなので、どうしようか思案中です。

こうしてカビ退治ができたとはいえ、カビが生える元凶の一つである湿気をどうにかしないと、また彼らは戻ってきてしまいます。困ったことにわが家には換気扇というものがなく、シャワーを浴びると湯気が抜けず、洗濯物は生乾き臭を放ちながら中々乾いてくれません。このためAmazon.frでデロンギ社製の除湿器を購入。昨日から稼働を始めましたが、数時間でタンクに面白いほど水が溜まります。湿気退治とこまめな掃除で、もう彼らに会わないことを願うばかりです。

今回は生活の困り事についてでした。次回は
今週末にリヨンの「光の祭典」を観に行くので、その模様をお伝えします。

フランスのお買いもの事情

31 10月 2018
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フランスの国民的スーパー、Monoprix

先週あたりから急に寒くなり、朝晩は5℃を下回る日が続いています。少し前まで半袖だったのが嘘のよう。
結局、先週末は出掛けることなくヴァイオリンの練習に専念していました。随分前から課題になっていた構え方を研究していて、試行錯誤した結果ようやく楽な構え方を発見。今はそれを安定させるべく努力しているところです。

変わったことといえば、フランス国鉄の青少年割引カード「カルト・ジュヌ(La carte jeune)」を買ったことと、住宅補助(CAF)を申請したこと。
カルト・ジュヌは27歳までの青少年が利用でき、50€のカードを購入すると各切符の割引料金が1年間適用されます。国鉄のインターネットサイトで購入して、「Libre borne service」なる自動券売機で発行、証明写真を貼って窓口で脱落防止用の保護シールを上から貼ってもらえば完了。カルトというのだからポイントカードのような小さくて硬いものなのかと思ったら、普通の国鉄の切符と全く同じ薄い紙でした…。まるで大きい駐車券のようです。

住宅補助(CAF)の申請は大抵の場合早々に行うものなのですが、出国前のキャンパス・フランスの説明によると学生証が必要とのことだったのでそれを待っていたのです。私が通う語学学校には学生証はないらしく、音楽院に入学したのでその学生証を使おうと思っていたら、郵送されてくるはずのものが待てど暮らせど来ない。キャンパス・フランスのサイトには「住み始めて3か月以内」と記載されていたので待つのはもう限界となり、語学学校の入学許可証を代用することにしてネットで申請しました。ところが提出した書類は今のところパスポート、滞在許可証、出生証明書(戸籍謄本を翻訳したもの)のみ。これから求められるのでしょうか…。追ってまた詳細を書きます。

さて今回はお買い物編ということで、私の3か月あまりのお買い物事情を書いてみようと思います。
日頃の食料品他の買い物は専らMonoprixに行っています。これはフランスの国民的スーパーの一つで、ヴェルサイユにももちろんあります。品ぞろえもある程度良く(店舗によって多少異なります)、生鮮食品を除いてほとんど全ての品目にあるプライベート・ブランドは安価で購入することができます。ちなみにこれらはポイントカード(Carte de fidélité)を提示すればさらに割引になることも。ポイントが貯まれば支払いに使えるので必ず作りましょう。
青果は山積みになっているところから選ぶわけですが、時にはあまり新鮮とは言えないことも…。ちなみに店内にはハエが飛んでいます(笑)が、フランスの方々はあまり意に介さないようです。重さによって価格が決まることが多いので、なるべく可食部が多いものを選ぶことをお勧めします。
生肉、鮮魚は個別に店員がいて、その場で切って重さを計ってくれます。しかし値段が高いので、今では専ら「Prépare」と呼ばれる整形時の破材を買うようにしています。比較的値段が安く、大きな店舗には必ずあると思うのでお勧めです。
フランスは日本に比べて物価が高いです。分かりやすい例は自動販売機の清涼飲料水500MLのペットボトルが2~2.5€で売っていること。日本なら160円前後ですが、フランスではこれが300円ほどだということです。日本の金額に慣れていると気軽には買えないですね…。しかし面白いのが、2Lの同じような清涼飲料水があまり変わらない値段で売っていること。大家族に優しく、一人暮らしにはあまり優しくない経済なのですね。今では2Lのモノプリブランドのジュースを500MLのペットボトルに毎日入れて持ち歩いています。ヨーロッパは乾燥しているので飲み物は必需品です。
日用品もMonoprixで売っていますが、何にせよ値段が高い。これを見越して出国前に日本の100円ショップで日用品をできるだけ買って持ち込んだのが正解でした。フランスの経済には貢献しませんが、これから渡仏する方は是非、100円ショップでできるだけ多くのものを揃えることを強くお勧めします。

今回は少々長くなりましたね。今日の夜から南仏旅行に行ってくるので、来週はそのレポートです。お楽しみに。