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ヴェルサイユのノートルダム地区(後編)

18 9月 2019

市民の憩いの場となっている旧王立病院の中庭

すこし夏が戻ってきたようで、日中は半袖でないと少し暑い快晴の日が続いています。しかし日が暮れるのは日増しに早くなり、あの長い暗闇の冬がすぐそこまで来ているかと思うとこの青空を味わえるのも今のうちです。
今週から新学期が始まりました。バカンス中は開校時間が短く、小さい部屋で練習することを強いられていたのでようやくといった感じです。室内楽担当の先生は家庭の事情でしばらく来られないとのことで、アンサンブルは今しばらくお預けに…。

さて、今回は前回に引き続きヴェルサイユのノートルダム地区についてお伝えします。

  • ポンパドゥール夫人の館
  • 前回紹介した王妃の厩舎からさらに西へ進むと、ルイ15世の愛人として宮廷で権勢を誇ったポンパドゥール夫人の館があります。彼女はもちろん宮殿内にもアパルトマンを持っていましたが、宮殿に隣接するこの場所にも館を持っていました。ルイ15世の趣味による建築でしたが、19世紀以降ホテルとして転用された際に高く増築され今日ではよく見る集合住宅のような外観になってしまいました。現在は政府所有で基本的に内部に立ち入ることはできません。

  • モンタンシエ劇場
  • ポンパドゥール夫人の館の右隣に、1777年に完成したモンタンシエ劇場があります。内部は水色と金色で彩られた小さいながらも豪華な劇場です。すぐそばに王室歌劇場があるのに…王政末期の財政難にしては羽振りがいいですね。
    現在では市営の劇場になっていて、演劇を始めたくさんのプログラムを上演しています。機会があれば観てみようと思っています。

  • ランビネ博物館
  • モンタンシエ劇場から北へ進み、レーヌ通りを東へ進むと、ランビネ博物館があります。ルイ15世治世下の建築でランビネ家の館でしたが、1929年にヴェルサイユ市へ遺贈され市営博物館となりました。18世紀の装飾美術品、革命やヴェルサイユ市の歴史に関係する品が展示されています。
    今回の記事を書くにあたり入館しようと思ったのですが、今週末に無料開放があるのでその際に行くことにしました(笑)。
    庭園も様々な花が植えられ可愛らしい仕上がりとなっています。

  • 旧王立病院(リシャール病院)
  • レーヌ通りをさらに東へ進むと、ギリシャ神殿風の正面が特徴的な広大な建築、旧王立病院があります。ルイ14世によって計画された壮大なヴェルサイユ造営では、王の夢の一方で工事による怪我人も続出していました。そのような者たちを受け入れていた慈善病院が1720年にこの王立病院となりました。その後増築が繰り返され現在の姿になりましたが、1981年に病院が移転したことでこの建物は放棄され一時期は荒廃していました。
    しかし2009年から再整備が始まり、現在では内外ともすっかり美しい姿を取り戻しています。中庭は毎日開放され市民の憩いの場になっている他、曜日限定でアート展覧会も開催されています。他の建物内は一般人は立ち入れず静まりかえっていますが、一部は歯科医院となっているようです。

ヴェルサイユは宮殿だけでなく、このようにいろいろな見所がたくさんあります。宮殿があまりにも広大で観光するにはどうしてもそれだけで一日使ってしまいますので、ヴェルサイユには泊りがけで来るか、何度か足を運んで是非他の場所にも行ってみてくださいね。

次週は今週末行われる「ヨーロッパ文化遺産の日」とヴェルサイユ宮殿での展示演奏についてお伝えします。

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