ホーム » ヴェルサイユ便り » 留学1年目の総まとめ

留学1年目の総まとめ

31 7月 2019

すっかり仕事場になったヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂


ついに梅雨が明けましたね。日本の夏はフランスに比べて湿度が高く、まとわりつくような暑さで汗がなかなか乾かないのが曲者です。私は汗をかきやすいのでフランスの方が過ごしやすいですね。
先週末は西日本の方へ旅行に行ってきました。ずっと行きたかった広島県の厳島神社に行くことができたのと、山口県のSLやまぐち号に20年ぶりに乗車、京都の鉄道博物館にも寄って日本の鉄道を満喫してきました。やはり日本の鉄道は面白いです。

さて、今回は留学1年目の総まとめということで、この1年間にあった主なトピックと感想、お役立ち情報について書ければと思います。

・師匠パトリック・コーエン=アケニヌ
一昨年の9月に一度会ってレッスンを受けただけでの渡仏でしたが、今の自分の目指す目標にはとても合致した先生でした。特にアンサンブルでの統率の仕方を彼から学んでいます。
来年度はプロのオーケストラにいくつか呼んで下さるとのことなので、今から楽しみです。

・ヴェルサイユ地方音楽院
学校については過去の記事でも取り上げましたが、18世紀の建物の響きを感じられること、学校のプロジェクトでヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂や大厩舎などで演奏できたことはとても良い経験になりました。入学時のガイダンスがほとんどなく、例えば部屋の使用の際に守衛に一声かけることは後になって知りましたが(笑)、2年目も積極的に活動していきたいと思います。
来年度はパリ地方音楽院と合同でマレの音楽悲劇上演プロジェクトがあるとのこと!

・フランス語
うーん、何とかここまで来ましたがまだまだ力を伸ばしたいです。私の場合はただ会話ができればいいということではなくて、18世紀以前の専門書を読んだり、オペラやカンタータなどのテキストの朗唱法や詩の裏側まで知らなければいけないので…。
会話でもここのところは新たな問題があって、頭で文章がある程度速く作れるようになった分、口が追いつかないんです。私は日本語でも唇をほとんど動かさずに話す癖があって、フランス語の発音に必要な唇周辺の筋肉が全然足りていないんですね。発音練習を飽きずにやっていきたいと思います。
またフランス語は多少上達しましたが、日本語ほど高度な会話はできずにいたので言語能力そのものは落ちてしまった気がします。ある程度日本人の友人は近くにいた方が良いのかもしれません。

・住居
現在の部屋は内見せずに渡仏前に契約しましたが、少し狭いだけで基本的には問題なく大家さんもとても良い方でした。あと学校や宮殿に近いのが何よりの魅力。
住居関連のトラブルは多いと聞くので良かったです。

・行政その他の手続き
滞在許可証の手続きなどは現在も面会の予約を取って書類を提出するという形ですが、現在は住宅補助や社会保険などオンラインでできる手続きが多くなり、自分のペースで落ち着いて説明を読んで進められるようになりました。今後もどんどんオンラインでできる手続きの割合は増えていくと思います。

その他…
・フランスは生活に必要な雑貨が軒並み高いので、出国前に日本の100円ショップで一通りそろえて行ったのは大正解でした。今回も少し買い足していきたいと思います。
・「アポスティーユ付きの戸籍謄本を法定翻訳した書類」の準備がキャンパスフランスのガイダンスやネット上で話題になりますが、結果的に提出するのはいつも翻訳書類である出生証明書のみで、戸籍謄本の原本を提出する機会はありませんでした。アポスティーユは原本についているもので出生証明書にには反映されないので、アポスティーユは必要なかったことになります。また翻訳はパリの日本大使館に依頼しましたが、提出の際にこの点を咎められることは全くありませんでした(大使館で行ったものは法定翻訳にはならない)。ただ、大学など高等教育機関へ登録する場合にはこれらが必要なのかもしれません。
・フランス人たちは日本のことついてとても興味を持ちながら話を振ってくるのですが、あまり詳しいことになると私も時々知らないことがあり返答に困ることがありました。例えば豊洲市場の移転に関する詳しい経緯とか、日本の寺社に使用されている木材は何なのかとか。世界で活躍する日本人の一人として、もっと日本のことを知らなければいけないなと思いました。

・総括
留学前、このグローバル化された現代社会において果たして音楽留学は必要なのかと思っていた時期がありました。しかし今ははっきりと断言できます。西洋音楽を学ぶならヨーロッパへの留学は絶対にお勧めです。
まず何といっても建築物が違うんです。日本にはコンサートホール以外にクラシック音楽の演奏に適した空間はほぼないと言って良いでしょう。またバロック音楽を始めとした古楽の演奏においてはこうしたホールもほとんどは大きすぎて不向きです。私はヴェルサイユの王室礼拝堂や地方音楽院のアパルトマン、市庁舎の大広間といった18世紀の建築物での演奏を通じて、演奏する空間の大切さを改めて思い知りました。
また絵画や彫刻などの素晴らしい作品をルーヴル美術館等で気軽に見ることができるのも大きいです。音楽という抽象的な芸術を知っていくには、具象化された芸術である建築や美術の理解が大きな助けになります。しかし残念ながら渡仏前の自分は音楽を勉強することはあっても、他の芸術を勉強することについては全く足りていませんでした。日本にやってくる美術品などほんの一握りです。是非一度ヨーロッパで素晴らしい建築物を見て、美術館や博物館を回ることをお勧めします。

今回は留学1年目の総まとめをお伝えしました。
8月の更新はお休みさせていただきたいと思いますので、次回は9月にヴェルサイユに戻ってからまた書きたいと思います。
今後とも当ブログをどうぞよろしくお願いします。


ヴェルサイユ便り ,