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ヴェルサイユ宮殿の特別オペラ

10 7月 2019

ルイ14世時代さながら大理石の中庭で行われるオペラ上演

数週間に渡って快晴が続き、全然雨が降りません。冬は地面が絶えず濡れていたのに、今では少しだけでも雨が降ってほしいなと思います。
6月の最後の週に比べれば気温は下がりましたが、それでも最上階の我が家は相変わらず暑いです。ホームセンターで買ってきた散水ホースで時折屋根に打ち水をしていて、気化熱で微かに涼しくなっている(?)気分を味わっています。
先週の金曜日は前の週に急に頼まれた本番に参加してきました。季節外れのルソン・ド・テネブルで、ジャン・ジルを中心にしたプログラムでした。ジルをやるのは初めてだったのですが、とにかくリハーサルが少なく咀嚼する前に終わってしまいました。せっかくならもっと練りたかったです。
土曜日にはパリのJapan Expoに参加するため来仏した中学の同級生にヴェルサイユ宮殿を案内しました。本当に卒業以来10年ぶりの再会で、とても懐かしかったです。短い時間でしたがヴェルサイユを楽しんでいただけたようです。

さて、今回は七夕の日曜日にヴェルサイユ宮殿の大理石の中庭で行なわれた特別オペラについてご紹介したいと思います。
これは今シーズンの最後のスペクタクルで、分類上もSpécialとなっています。いつも買っている25歳以下の割安チケットはなく、高級クラス198€と総督クラス298€の設定しかありません。少し悩みましたが、大理石の中庭のオペラ上演は観てみたかったので少し大枚を叩いて高級クラスを購入。
この演奏会には他のヴェルサイユのスペクタクルとは異なりドレスコードまであります。指定はTenue de cocktail。何かと思ってインターネットで調べてみると、どうやら普通のスーツを着ていれば問題なさそうだったので本番用の紺色スーツを着用していきました。
19時半頃、宮殿の正面にある金色の扉が開かれました。普段は左右のデュフール棟かガブリエル棟の入口からしか入ることがないので、この正門と言うべき扉を通ったのは初めてです。まずは王女のアパルトマンを通って鏡の回廊の下にある回廊でシャンパンと一口軽食をいただきます。少しですが庭に出ることも出来ました。ここで高級クラスと総督クラスの差別化が図られており、総督クラス用には別のビュッフェが用意されていました。
20時半からいよいよ上演開始です。演目はシャルパンティエの「花咲ける芸術Les arts florissants」。一度観てみたかった作品でした。音楽、詩、建築、絵画の4つの芸術が擬人化され、戦争と平和を巻き込みながら展開していくという筋書きとしては他愛もない牧歌劇です。歌手はさすが、朗唱のニュアンスも良く聞こえましたが器楽が室内楽編成で少し弱かったという印象がありました。ただとにかく雰囲気が良く、徐々に日が落ちていく中で熱く展開されるこのスペクタクルはとても感動的でした。
ドレスコードによりスーツの上着も着用していたため暑さは危惧していましたが、開演する頃には涼しい風が吹き始めむしろ寒いくらいになりました。ノースリーブのドレスを着た女性の演者や観客はきっと寒かったと思います。
終演後は再び回廊でビュッフェが振舞われ、今度はスイーツが出てきました。
少し値段は張りますがそれだけの価値がある、大満足のスペクタクルでした。来年もまた行きたいなと思っています。

次回はオーヴェルニュのロマネスク教会とピュイ・ド・ドームについてお伝えします。

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