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ローマの水道橋とアルルの衣装祭

3 7月 2019

「アルルの女」が集う衣装祭のショー

先週はとにかく暑いの一言しかなかったです。夜は涼しくなるものの室内の熱気がなかなか抜けず、窓に向かって扇風機を回して換気してみたり、扇風機の前に氷を置いたり、「ほんとにあった怖い話」を観てみたりしましたが気休め程度。何日も寝苦しい夜が続き寝不足になりました。
今週は一転して最高気温が25度前後になり、窓を開けていれば涼しい風が窓から入ってきます。あの悪夢の一週間はいったい何だったのでしょうか。

さて、先週末はそんな暑さの中、私は南仏へ旅行をしていました。昨年訪れたアルルで開催される有名なお祭り、衣装祭を観に行くためです。
パリからTGVで3時間半、まずは教皇庁宮殿や聖ベネゼ橋でおなじみのアヴィニョンに到着。今回はここからバスに乗って、ポン・デュ・ガールという古代ローマの水道橋を見に行きます。しかし出発ターミナルであるはずのアヴィニョン中央駅のバスターミナルに行くと、トラム建設工事のためアヴィニョンTGV駅からの出発に変更しているとのこと。元々乗り継ぎにあまり時間がなかったので、乗るはずだったバスはあきらめて1時間後の便に乗るべくアヴィニョンTGV駅へ近郊電車TERで移動しました。でもいざ行ってみるとバスの案内がどこにもなく、本当にここでいいのか30分くらい悶々とする羽目になりました。
バス停には30人くらいの非常にガラの悪い青少年たちがはしゃぎながら何かのバスを待っていて、騒がしいのを耐えながら一緒にバスを待っていると、どうやら彼らもポン・デュ・ガールに行くらしいということが分かりました。ポン・デュ・ガールの下を流れるガルドン川では遊泳ができるそうなので、彼らも泳ぎに行くのでしょう。バスが到着すると彼らは我先に乗り始め、しかも一人ずつ乗車賃の清算をやるものですから私を始め他の数人の乗客は20分くらい外で待たされました。何とか定員内で全員乗ることができましたが、もし定員オーバーになったらどうするつもりだったのでしょう。夏の遊泳シーズンはバスの増便をお願いしたいですね。
ポン・デュ・ガールに着くまで45分、彼らは大声で歌ったり携帯から音楽を流したり、ちょっかいを出し合ったりとやりたい放題。私はYoutubeでずっとオペラを観ていました。
ポン・デュ・ガールにほど近いバス停に着くと、彼らは橋の方ではなく違う方向へ進み、橋や博物館がある道へ進むのは私だけでした。気温は35℃を超える中日陰もない道を進むことしばし、まずは博物館へ入ります。博物館はローマの都市の水道設備、水に関係する施設である公衆浴場や便所と、水道橋や水路トンネルの建設について紹介しています。ポン・デュ・ガールを筆頭とするこの導水路はユゼスの水源地からニームの町へ水を供給するために紀元前19年頃建設されました。3層からなる巨大なポン・デュ・ガールの水道橋はローマの建築技術の高さを物語っており、世界遺産に指定され今日でもたくさんの観光客を迎えています。博物館内ではユゼスからニームまでの全ての水道橋が模型で再現され、壁面には上空から導水路を辿る映像が流れていてしばし見入りました。
さて、冷房が効いた館内で体力が回復したところで、いよいよ水道橋を見に行きます。気温は38℃に達していました。しばらく道を進むと先ほどまで模型で見ていた水道橋がその威容を現します。

3層からなる巨大なローマ水道橋ポン・デュ・ガール

僻地にあるためか、ニームやアルルにあるローマの建造物よりも破壊されている部分が少なく保存状態は良いように思います。北側の3層目には道路として使用するための部分が後の時代に追加されましたが、南側の部分はほぼオリジナルの状態が残っていますので、博物館から行く際は橋をくぐって反対側から眺めることをお勧めします。
河原に降りて10分くらい観察し、暑さに耐えきれなくなって戻りました。一応橋の通行できる部分を往復してみましたが、反対側には特に何も施設はありません。とりあえずただ暑くて体調が悪くなりそうだったので博物館のカフェでアイスを買い涼むことにしました。
バス停に着くと、何とまたあの青少年たちがいるではありませんか。結局アヴィニョンからのバスはオペラを観ながら耐え忍ぶ往復1時間半の旅路になりました。帰りはトラム工事が終わったのか中央駅のバスターミナルへ到着しました。その後は冷房付きの近郊電車TERで20分、アルルに到着。ホテルに直行しシャワーで汗を流した後、夜のアルルを一通り散歩しましたがまだ暑く少し汗ばんでしまいました。

さて、日曜日の午前中はいよいよ衣装祭です。例年は午後にもイベントがあるみたいですが、この酷暑のため中止になったとのこと。
この衣装祭は自らの伝統衣装やプロヴァンス語(オック語の一種)といった首都パリとは異なる独特の文化を継承していくためのお祭りで、日本で言えば沖縄や東北の伝統的なお祭りといったところでしょうか。
まず朝9時から、円形闘技場の近くのノートルダムで朝の祈りの儀式が行われましたが、聖堂が小さいため多くの人は外で待っていました。私も入れなかったので結局何をやっていたか分からずじまい。そうこうしているうちにプロヴァンスの伝統楽器を使った鼓笛隊の演奏が始まり、まもなく行列の行進が始まりました。10歳に満たない子供からご老人まで、伝統衣装を着て練り歩きます。いわゆる「アルルの女」と呼ぶにふさわしい20代~30代の女性たちももちろん良いですが、私は特に子供たちが健気に衣装を着て歩く姿が可愛くて好きでした。
一通り行列を見たところで次にショーが行われる古代劇場へ移動。何とか中央付近の日陰を確保できました。日向にいたらとても耐えられる気がしません。
ショーが始まると、まず「アルルの女王」と呼ばれる3年に一度選ばれる白いドレスを着た女性がプロヴァンス語でスピーチをします。フランス語への翻訳はありませんでしたので、分かる部分もありますが全然分からない単語もありました。そのあとは18世紀からの各時代の衣装を着たグループが登場し、舞踏を披露してくれました。
次第に日が昇ってきて座った時は日陰だった私の席も徐々に日が差してきて、終わった時には暑さが限界に近かったです。日向の舞台で長袖の衣装を着て踊っていた彼らはさぞ暑かったことでしょう。
古代劇場を後にして、逃げるように古代フォーロム地下回廊へ入り、地下の冷気で一気に涼みました。体力が回復したところで中心部から少し離れた川沿いにあるアルル県立博物館へ。途中は日向を歩かねばならずかなりしんどかったです。県立博物館ではローマ時代の建築物の模型や生活用品などを見ることができましたが、あまり規模の大きな博物館ではありませんでした。帰りはバスが運行していることを知ったので、冷房の効いた小さいバスで移動。帰りのTGVまでまだ少し時間があったのでサン=トロフィーム教会を再び訪れました。

こんなわけで、もう少し涼しければアルルの町で活動したかったのですが如何せん暑くてなりませんでした。来年の夏もこんなに暑いようであれば、北欧に行くなり何か方法を模索しなければと思っています。

来週はヴェルサイユ宮殿の大理石の中庭で行われる特別オペラについてお伝えします。


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