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パリの語学学校ISMAC

22 5月 2019

コーヒーマシンがある待合室

今週は師匠パトリック・コーエン=アケニヌ氏の指揮でリュリの《平和の田園詩Idylle sur la paix》に取り組んでいます。ヴェルサイユバロック音楽研究センターが行っている「国王の24のヴィオロン」の復元演奏プロジェクトの一環で、ヴァイオリンは標準よりも少しだけ小型の楽器、ヴィオラは3つの異なるサイズの楽器(オート=コントル、タイユ、キャント)、低音はチェロとは調弦が異なるバス・ド・ヴィオロンを使用したオーケストラです。歌手はもちろん研究センターの学生たちで、彼らの歌唱は何度聴いても表現の彫りが深くて上手いなと思います。
今回はコンサートマスターを拝命しましたので、プロジェクトが終わるまでの間「国王の24のヴィオロンの第一ヴァイオリン奏者」という名誉ある称号を得ることになりました(笑)。冗談はともかく、こんなに刺激のある本番を1年目に何回もできるとは、やはりここに来てよかったなと思います。
ここに来てよかったなと思うといえば、宮殿から伸びるソー通りやパリ通りの並木道を歩くたびにもそう思うんですよね。最近葉が増えてきて、一段と壮麗な眺めになっています。

さて、今回は現在私が通っている語学学校についてお伝えしたいと思います。
実は私、今年の学生ビザはこの語学学校の入学で取得しました。その理由は音楽院で現在所属している研究科(Perfectionnement)の入学試験は昨年の10月初旬にあり、その1週間後からもう授業が始まるというスケジュールになっていたからです。テスト生用のビザから切り替えるという方法もあるのですが、面倒だという噂を耳にしたのとフランス語も勉強したかったので語学学校へ通うことにしました。
ISMAC(Institut Supérieur de Management et Communication)はアジア諸国向けのビジネススクールに併設されている学校です。語学学校の校舎はビジネススクールとは別で、13区のグラシエール通り沿いにあります。ヴェルサイユからはモンパルナスまでN線、駅から91番バスで通っています。校舎といっても独立した一つの建物ではなく、マンションの手前にあって建物は一体になっています。内部は教室が4つとコーヒーマシンがある小さな待合室(写真参照)があるのみです。冷水器などあったらいいなと常々思いますがまあ別に困らないですね。受付の方は日本語を話せるスタッフが大抵の場合は控えており、初心者の方やこみ入った内容を相談したい場合も心配ないと思います。
授業は平日毎日あり、基本の授業が2時間、アトリエと呼ばれるその日ごとに決められたテーマに沿って学習する授業が1時間半、また月一回は校外学習会があります。レベルはA0(内容は知りませんがA1よりさらに初歩のレベルの授業だと思います)からB1は同一の授業料で、B2とC1はそれよりも高くなります。時間割については公式サイトには明記されていませんが、メールで問い合わせれば確認できます。基本の授業の生徒数はおおよそ10人程度ですが、アトリエは2つのクラスが合同で行う場合が多いので人数が増えます。
パリには数えきれないほどの語学学校があるかと思いますが、決める際にまず重視したのは何といっても授業料でした。このISMACという学校は8か月で1600€(当時は1500€でした)で、有名な学校では倍ほどするところもありますからかなり割安な方です。あとはインターネットにあるいくつかの口コミとパリの邦字新聞オヴニOvniの記事、またアジア諸国の人々に対して理解のある先生が多いという特色も決め手になりました。アジアの諸言語は文法が似通っているところも多いですから、それだけフランス語でつまづきやすいポイントも抑えているかなと思ったからです。
昨年の5月に数回メールのやり取りをして、授業料を振り込んだら入学を証明する書類が送られてきました。1年目なら語学学校のビザ取得は問題なく気楽かな…と思ったら、ビザ申請手続き中に日本のキャンパスフランスから思わぬ横槍が。曰く「FLE資格(フランス語を母国語でない生徒に教える能力を保証する資格)を有している学校ではないので授業の質に難があるかもしれないから違う学校に変えることを勧める」とのこと。うーんとあの、いや、もう授業料払ったんですけどね。なんで今更そんなこと仰るのでしょうとブツブツ文句を言いながら急いで学校へその旨メールしてみたら「よくあるケースなのでその点は大丈夫だと返答してください」とのこと。最も講師陣は全員FLE資格を持っていることを確認済みだったのでその旨も添えてキャンパスフランスへメッセージを送ったら今度は承認されました。その後は滞りなく渡仏。
9月に授業が始まってからは1か月ほどは、オヴニの記事にも出ていて学校で一番人気のアドリアン先生のクラスでした。テンポよく授業を進めていて、気が付くと授業が終わってしまうという本当に授業が上手い先生です。またそれだけではなく、韓国、中国への関心はもちろん、日本には神戸での在住経験があるようで日本とその人々のことをとてもよく知っています。しかし残念なことにまもなく時間割と先生の担当が変わってしまいました。その後の先生もまあまあ良かったのですが、アドリアン先生にはかなわないかなあ。
レベルは基礎をもう一度固めようと思い手堅くA2から始め、今ではB1のクラスに通っています。文法の授業はA2はさすがに知っていることがほとんどでしたが、忘れていることやいつもつまづくポイントを再確認できました。
一年間で12月、4月、8月の計三回テストがあり、TCFを模した筆記試験と口頭試験があります。授業内容もTCFやDELFを意識した聞き取りや記述の授業が多くあり、レベル取得にも効果的だと思います。
まもなくここでの学習生活も終わろうとしていますが、全体的には満足の学校でした。ただ改めて思うことは、主体的に取り組み意欲的に発言する方が上達するということ。間違っても何か言う、書いてみるということがとても大事だと思います。
パリの語学学校を探している方は、是非参考に。

次回は「国王の24のヴィオロン」の復元演奏プロジェクトについてお伝えします。


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