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パリのメトロ 前編

20 2月 2019

メトロの看板一つとっても何やらお洒落なのがパリ流儀

厳しい冬はどこへやら、外を出歩くにも手袋が要らないほど暖かくなってきました。あれだけ曇りの日が多かったのに、連日晴天に恵まれているヴェルサイユです。
自身が弾いた木曜演奏会から1週間、プログラムが興味深かったので今度は聴衆として木曜演奏会に行ってきました。開始前の行列に並んでいたら「あなたは先週のヴァイオリニストでしょ」と声をかけられました笑。
アントワーヌ・ボエセのミサ曲を中心に進むプログラムで、演奏はヴェルサイユバロック音楽研究センターが育成する少年少女を中心とした合唱団と地方音楽院の通奏低音奏者たちでした。途中のソロも子供たちが担当していて、これがびっくりするほどうまい!!!古楽唱法の純粋培養で研究センターの訓練を受け、日頃から王室礼拝堂など演奏環境にも恵まれているであろう彼らはとてもレベルが高いです。機会があれば是非一度彼らの演奏会へ足を運んでみてください。
そんな彼らの演奏を楽しんでいたら、突然館内で警報が鳴りだしました。構わず指揮者に従って懸命に演奏を続ける彼らでしたが、警報とそれに続く館内放送とミサ曲で響きがカオスなことに。早く止んでほしいと誰もが思っていたであろうところで突然後方から誘導員が退出するよう促し、私たち観客はやむなくプログラム半ばにして屋外へ出ることになりました。皆残念そうに、帰ってしまう人も少なくありませんでしたがシャペル周辺で待機する人も多かったので、どうなることかと待っていたらしばらくして再開するとのこと。警報が鳴りだした箇所の少し前から再度演奏が行われ、無事最後まで公演は行われました。
突然のことにも一糸乱れず演奏する彼らは胸を打つものがあり、拍手もひと際大きかったように思います。

さて、今週のテーマは「パリのメトロ」です。
私は普段ヴェルサイユに住んでおり、音楽院には徒歩で、語学学校には国鉄線(もう国電って言ってもいいですか?)でモンパルナスまで行くのでメトロには何か用事がないと乗りません。しかしパリ観光にはバスと合わせて欠かせないメトロのこと、今回の執筆にあたり改めて各線に乗車してきました。

・そもそもメトロとは?
メトロとは、パリにおいて①から⑭の数字が与えられた地下鉄のことを指します。パリの市内では少し歩けばほぼどこでもメトロの駅を見つけることができるほど、駅間が短く短距離の移動に最適です。
東京のような一般の鉄道線との相互乗り入れは一切ありません。国鉄線と直通しているAからEのアルファベットで示されるRERは長く地下を走りますが、これはメトロとは呼びません。
メトロの各駅はスタシオンLa stationと呼ばれ、国鉄線の駅ガールLa gareとは呼び方が違います。地下区間のRERは…微妙らしいです笑。スタシオンと呼ぶ人もいるそうです。

・乗車方法
まず地下駅の場合はMETROと赤地に白抜き文字で書かれた看板か黄色のMの看板があるところを見つけて階段を下ります。地上駅の場合はそのまま構内へと入ります。
改札周辺には券売機があります(おそらく)。券種については割愛しますが、ナヴィゴでないならticket+のカルネが便利ではないでしょうか。券売機の画面は英語やイタリア語なども選択可能です。近頃はローラーがついた旧式の券売機は少なくなってきました。
ちなみに切符のticket+はメトロ線内であればzone2や3の駅でも使用できます。
改札は動物園の前にあるような回転式の装置で、切符を通すかナヴィゴをタッチすると進むことができます。
これから乗車する路線の番号と方面をよく確認して乗車しましょう。通路の分岐には路線図が書いてありますので確認することができますが、迷っているとその分トラブルに会う確率が高くなりますのである程度事前に頭に入れておきましょう。
パリ交通公団RATPの公式アプリ、フランス国鉄SNCFの公式アプリを使うと簡単に乗換検索ができます(RATPのアプリは運休している列車まで表示してしまうので私はSNCFのアプリをお勧めします)。
列車はおおよそ3~5分間隔で運転していますので、ホームに発車間際の列車を見つけても絶対に駆け込み乗車はせず次の列車を待ちましょう。ワンマン運転でドアの閉まり具合などあまり詳細には確認していないと思われるので、荷物や衣服が挟まってもセンサーが感知しなければおそらく発車してしまいます。
国鉄線もそうなのですが、残念ながらほとんどの路線にはドア位置を示すマークがありませんので、列車を待つ際は各自思い思いの場所で待ち、運よくドア前に立っていた人から順次乗り込みます。いつも思うのですけど乗車位置くらい簡単に付けられますよね…。ちなみにドアはレバーかボタンを操作する手動が未だ主流です。
新型車両の投入で次第に減ってきてはいますが、以前多くの路線では車内電光掲示板や車内放送がありませんので、途中の駅を確認しながら下車駅を目指しましょう。
下車駅に着いたらドア前にいる人々に声をかけて通してもらい下車します。停車時間はとても短いので、降りる準備は必ずしておきましょう。
出口La sortieは青地に白抜きの文字で書かれた看板に従って探すことができます。有名な観光名所には黄地に白抜き文字でその旨の記述もあります。大抵はホームに駅周辺の地図がありますので、出口が分からなくても一番近い出口を選んで出ることができます。出る時はドアが自動で開くゲートを抜け、切符やナヴィゴは必要ありません。

・乗車時の注意
メトロは日の光が当たらないからか、治安が地上以上に悪いです。私は幸いまだ被害にあっていませんが、スリ集団が多く徘徊しているようです。フランス語が分かればまだ良いですが、基本的に何か話しかけられても無視して立ち去るのが最も安全です。
廊下には寝ている人、奇声を発する人、物乞い、無許可であろうミュージシャンや物売りが多くいます。車内にも時々物乞いが来ますが、関わらないようにしましょう。時たま小銭をあげている人を見かけますが、それをやっていると彼らはいつまでもいなくならないでしょう。
また構内は地上同様不潔です。時折汚物があったりしますので腰掛ける時などは注意してください。
昨年11月から毎週土曜日は「黄色いベスト運動」デモのため一部の駅が閉鎖・通過扱いになっています。土曜日利用する場合は運行状況をよく確認してから乗車しましょう。
車内は狭いため検札はありませんが、駅の出口付近で時々実施されていますので、要求されたらナヴィゴや切符を提示しましょう。

今回は少し長くなったので、次回後編を書きたいと思います。お楽しみに。

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