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フランス東部、三国国境の町バーゼル

27 12月 2018

ミュンスター大聖堂の塔から見たバーゼルの街並み


日本の皆様、良いクリスマスと年末をお過ごしでしょうか?こちらではいろいろな街のいたる所でクリスマスマーケットが開かれ活気に溢れていますが、24日は早く閉店して25日はどの店も休むところが多いなど、やはり日本とは違い静かで穏やかなクリスマスです。また日本では24日の夜が過ぎ去れば、クリスマスツリーはさっさと片づけてあっという間にお正月モードになりますが、こちらは本来あるべき姿というか、年末までクリスマスマーケットが開かれています。

さて先週末はフランス東部と三国国境の街バーゼルに行ってきました。
22日早朝から行動開始。まずはパリのリヨン駅に近いベルシー駅(西武新宿駅のような別駅です)に着きましたが、メトロのホームにはスーツケースを持った人々でいっぱい。皆さん一斉にバカンスへ赴くのですね。私もその一人です。
バーゼルへはパリから直行で行くTGVもあるのですが、道中もゆったりしていきたいのと、何分繁忙期で運賃が高いので今回は最後のストラスブールーパリ間を除いて全て近距離普通列車TERに乗車しました。それでもパリからディジョンまでは停車駅が少なく、かなり高速で運行します。一本前のTERの切符は売り切れていたので(普通列車の切符が売り切れるなんてあり得るのかと思いました)、乗車する列車も早く行かないと着席できないかなと思いきや、ふたを開けてみると殆ど乗客はいませんでした。編成途中にかつて一等車だった座席がそのまま2等車に格下げされている有難い車両があったので、ディジョンまでの約2時間半を広い座席でゆったり乗車できました。
ディジョンはかつてのブルゴーニュ公国の首都、そして我らが巨匠ジャン=フィリップ・ラモーの故郷です。しかし乗り継ぎの1時間しか滞在時間がなく、観光に行っても行くだけで終わってしまうかなと思ったので今回は街の雰囲気を味わうだけ。観光はまたのお預けです。
ディジョンから今度は指揮者コンクールで有名な街ブザンソンへ。ここにはルイ14世の天才軍師ヴォーバンの築いた要塞があることで有名なので、この地を目指すべく2時間の乗り継ぎ時間を確保しました。早速駅を出て要塞を目指しますが、駅からは距離があるだけでなく要塞は丘の上にあるので、登るまで結構時間がかかってしまいました。30分程度なら中に入る時間はありましたが何分有料ですし、急いで見たくはないなと思いここも断念。冬でなければ丘の上までバスが運行しているようなので、またの機会に致しましょう。
麓の門と言い、丘の上の砦と言い、さすが軍事建築は潔いほど装飾がなく簡素だなと思いました。まあ破壊される前提で作っているということでしょうね。パリやヴェルサイユでは見ない建築です。
さてブザンソンを出て、ベルフォールとミュールーズでそれぞれ列車を乗り継ぎいよいよバーゼルへ向け国際列車のTERに乗ります。サン=ルイ駅を過ぎたところで、突如携帯の電波が圏外になってしまいました。あれれ、Freeはスイスでは使えないのかー!そういえば確認していませんでした。バーゼルでは当アンサンブルでおなじみの菅沼起一さんと待ち合わせをしていたので少し焦りましたが、まあ駅にはフリーWifiがあるだろうと思いました。ところがいざ着いてみると全然Wifiが捕まえられない。人と待ち合わせをしている中でのこの状況はかなり焦ります。
ちなみにフランス側からTERに乗車するとBahnhof Basel SBBという中心地に近い駅に着くのですが、他のスイス国鉄のホームと異なる30番台のホームに着きます。入国審査は…ありませんでした。ある時もあるようです。
菅沼さんとは奇跡的に駅舎の一角で合流でき、そのまま近くのフードコートで吉崎恭佳さん、吉田奏子さんなどバーゼルに留学中の日本人たちと夕食を共にしました。半年くらい会ってないだけなのに皆さんとても懐かしかった!

さて2日目は市内観光です。市立美術館で中世から印象派までを中心に様々な絵を見た後、ミュンスター大聖堂へ。ゴシック建築ですがこの地方特有の赤砂岩を使用した建築の一つです。塔の一番上まで登ってみたら流石に恐怖を覚えるほどの高さでした…。いや、自分が落ちるというよりも手荷物を落としてしまいそうで。塔から見た景色が上の写真なのですが、眼下の建物はフランスとは違う、でもドイツとも違う、国際色豊かというかある種中庸というか、そういった建築です。全体的にどの建物も手入れが行き届いていて綺麗な印象がありました。
次は鮮やかな赤色が際立つ市庁舎へ。何年かに一度壁面を塗り直しているだけに本当に「赤い」です。ちなみに細かな絵も描かれているのですが、塗りなおすときはこの絵も書き直す…のでしょうか?手間がかかりますね。日曜日なので中には入れませんでしたが、十分堪能できました。
最後にシュパーレントアーという中世の門を見た後、スコラカントルムの中を拝見すべく菅沼さんと阪永珠水さんと合流。ライン川近くでフランスの電波をキャッチできた以外は完全に電波難民でしたが、なんとかお二人と会えました。スコラカントルムの中は入口に掲示板があったり、教室には黒板があったりと音楽院らしいところだなと思いました。
そのままお二人と近くのクリスマスマーケットでグリューワインを頂きました。温かいワインにフルーツのリキッドやスパイスが入っているもので、甘口の味は私にとっては好みでした。
ちなみに列車で入ってきてパスポートも見せるわけでもなく、着いたときは何だか国境を越えた気がしなかったのですが、街のいろいろな表記は全てドイツ語ですし、貨幣はスイスフランです。でもフランに関してはユーロを1:1のレートで受け付けてくれる店も多いですし、大抵の人は英語、フランス語を話すことができます。国境の街で人通りが多く、そうでもしないと立ち行かないのでしょう。私はいつもと変わらずフランス語で通してしまいました。

3日目は朝バーゼルを出て、まず国境にほど近い街ミュールーズに立ち寄りました。目的は…ずばりシテ・デュ・トラン。フランス国鉄の国内唯一の鉄道博物館です。
駅からトラムに乗ること15分ほど、人気のないミュゼ駅で下車。シテ・デュ・トランは基本的には年中無休で、12月25日は休館だと事前に分かっていたのですが、これはもしかしてやっていなのか?と思いながら進むことしばし、手前の広場に蒸気機関車が置かれたカラフルな建物にたどり着きました。入り口付近には子供連れのマダムが。よかった、やっているようだ。
今回も若干軽いとはいえバックパックは背中の負担になるので荷物を預けようと思ったら、入り口右手にあるロッカーは鍵が一本もない。受付の人に預けたいんだけどとお願いしたら、ごめん鍵が終わっちゃったんだよとのこと。まだ開館10分も経ってないのにそんなに盛況なのか!いやいやお見逸れいたしました…と思ったら最後に退館する時も鍵はなかったので、要するにやる気がないだけです笑。
この博物館は2棟の屋内展示と屋外展示からなっていて、鉄道黎明期の蒸気機関車から初期のTGVまでさまざまな車両を見ることができます。最初の棟は暖房が効いていて快適に見学できました。第二帝政時代の皇帝用車両やオリエント・エクスプレスで有名なワゴン・リの車両といった輝かしいものもありましたが、大戦中に収容所までユダヤ人を運んだ貨車や、実物は初めて見る列車砲、鉄道員レジスタンスにより爆破された軍用列車を模して転覆させた蒸気機関車もありました。日本でも「鉄道は兵器だ」と言われていましたがヨーロッパでは文字通りそうだったのですね。
2棟目は暖房がなく、屋根はありますが外気がどこからか入ってきて寒かったです。大小のさまざまな蒸気、ディーゼル、電気機関車、客車や貨車などがありましたが中に入れる車両はごく一部に限られていました。さらに日本のように何かの装置を動かしてみたり、シュミレーターで遊ぶといった体験施設はありませんでした。鉄道ファンとしてはこれは残念。屋外展示も数両あるだけで、意外とあっさり見終わってしまいました。
予定より1時間早いTERに乗って最終目的地ストラスブールへ。値段は変わりませんが一応列車の指定があるので、検札が来たら事情を説明しようと思いましたが結局来ませんでした。
ストラスブールはクリスマスマーケット発祥の街と言われ、現在でも「ノエルの首都」と呼ばれ世界中から観光客が集まります。ただ2週間前に銃撃事件があったので、少しは人出が少なかったかもしれません。広場には犠牲者へ花が捧げられていました。
クリスマスマーケットはイル川の中州でいくつかの区画に分けて開催されていて、橋の上には警察が待機していましたがリヨンの「光の祭典」のように手荷物検査はありませんでした。「サパン・ド・ノエル」と呼ばれるいくつかのツリーがあり、私は「密かなノエル」と題された区画の比較的小規模なツリーが好みでした。クリスマスマーケットの店は他の街とそう変わらないように思いましたが、興味のある方は是非一度行ってみてください。
大聖堂に入るには手荷物検査が行われており、長蛇の列ができていました。壮麗なゴシック建築だけにせっかくなので中も見てみたかったのですが、2時間弱しかないため他を回ることに。今回は断念が多いです。
最後に「プティト・フランス」と呼ばれる木組みの可愛らしい家が立ち並ぶ地区を見て、ウィゴに乗るために駅に戻りました。ただ30分前になってもなかなか検札が始まりません。どうやら放置された手荷物があったらしく、警察が来たりして結局40分遅れになりました。お腹がすいたので駅前のケバブを買って食べることに。
こうして聖夜はパリ東駅行きのウィゴの中で更けていきました。

今回はフランス東部とバーゼルのレポートでした。
来週は都合によりお休みさせていただきます。次回はヴェルサイユとパリの年末年始について書いてみたいと思います。


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